研究課題/領域番号 |
25370270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内野 儀 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (40168711)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ演劇 / パフォーマンス研究 / 演劇研究 / グローバリゼーション / 身体論 |
研究概要 |
本研究の目的は、演劇研究の方法が交錯する同時代的文脈において、テクスト(戯曲=ドラマ)とパフォーマンスの関係をめぐる新たな理論的な知見を参照しつつ、現代アメリカ演劇の諸実践を記述・分析、あるいは歴史化する道筋を見いだし、また実際にそうした記述・分析、あるいは歴史化の作業を行うことにある。 平成25年度においては、演劇研究の歴史という側面と今世紀に入ってからのテクストとパフォーマンスの関係の再理論化という事態について、該当する主題にかかわる基本図書、すなわち広義の演劇史にとどまらない現代アメリカ演劇関係や演劇理論関係の研究書や演劇を扱ったさまざまな雑資料(新聞、大衆雑誌を含めた諸雑誌)の収集を開始した。と同時に、本研究の主題が歴史把握や思考のフレームといった同時代的問題に触れるため、ポスト構造主義以降の批評理論や思想一般にかかわる欧米並びに日本の資料を収集した。 また当該年度は、資料収集と研究内容のレビューのため、短期間渡米する計画を立てていたが、校務のため、断念せざるを得なかった。また、本研究の指導的立場にあるワシントン大学のハーバート・ブラウ教授が急逝したため、主としてニューヨーク大学のリチャード・シェクナー教授と電子メール等で研究の進捗状況について、やり取りをおこなった。ヨーロッパの舞台芸術フェスティヴァルへの訪問は、他資金を用いて、国際演劇協会(ITI)主催の音楽劇賞受賞式及びシンポジウムに参加するのみとなった(スウェーデン舞台芸術マーケットと同時開催)。一方、追加的にシンガポール南洋工科大学のワン・リン准教授との将来の研究協力関係の打ち合わせのため、シンガポール出張を行った。また、京都造形芸術大学付属舞台芸術研究センターに出張して、センターの関係者と研究についての打ち合わせを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、研究者がリーディング大学院のコーディネイター(多文化共生・統合人間学プログラム)になったため、年度後半、進捗状況にやや遅れが出ることになった。特に、海外演劇祭における資料収集については、リーディング大学院プログラムへの申請や審査の時期と重なり、今年度は1回を除き、ほぼ断念せざるをえなくなった。一方、図書や映像資料等の資料収集については、順調に進んでおり、特に問題はない。京都造形芸術大学演劇研究センターとの研究打ち合わせについても、将来を見越して、順調である。研究目的にある「演劇研究の方法が交錯する同時代的文脈において、テクスト(戯曲=ドラマ)とパフォーマンスの関係をめぐる新たな理論的な知見を参照しつつ、現代アメリカ演劇の諸実践を記述・分析、あるいは歴史化する道筋を見いだし、また実際にそうした記述・分析、あるいは歴史化の作業を行うことにある」については、本研究以前から開始してきた研究であり、今年度も、その延長線上で、さまざまな機会に発表等を行ってはきたが、まだまとまった論考として出版・発表するには至っていない。今後の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、演劇研究の方法が交錯する同時代的文脈において、テクスト(戯曲=ドラマ)とパフォーマンスの関係をめぐる新たな理論的な知見を参照しつつ、現代アメリカ演劇の諸実践を記述・分析、あるいは歴史化する道筋を見いだし、また実際にそうした記述・分析、あるいは歴史化の作業を行うことにある。 初年度は、上記のような事情で、やや遅れ気味になったが、次年度以降は、リーディング大学院事業も順調に始まったこともあり、エフォート率にふさわしい時間と本研究に費やすことができると判断している。したがって、特に研究課題の内容や方法に変更を加える必要は、今のところ、感じておらず、申請時の研究方法にしたがって、本課題研究を進めていく。
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