主に歴史劇とローマ劇の改作との比較研究を通じて、父権的超越性(transcendence)と呼応した歴史的内在性(immanence)の特性と限界を確認するとともに、母権的内在性(immanence)=「月下圏的自然」と呼応した前近代的「政体」の運命を論じた。近年、進化論的宗教学、歴史哲学、文明史の分野で話題を呼んでいる「枢軸時代」(the Axial Age)ーー人類史のなかで大宗教が創出された(すなわち超越transcendenceと内在immanenceの認識が誕生した)紀元前一千年の期間ーーに関する研究を加味するならば、日本近代のシェイクスピア受容をより緻密に検討することができる。
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