郷里のイングランド中部地方を舞台に市井の人びとの日常と心理を克明に写し取った「リアリズム作家」として長らく文学史の周縁に置かれてきたアーノルド・ベネット(1867-1931)と、その晦渋さゆえにつねに精緻な読解の対象とされるヴァージニア・ウルフ(1882-1941)、ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)、T. S. エリオット(1888-1965)ら「モダニズム作家」との同時代性に注目し、ジャーナリズムと学術研究というふたつの領域間の交渉を跡づけることで、リアリズムからモダニズムへという単線的な発展史の見直しをおこないました。
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