研究課題/領域番号 |
25370276
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 准教授 (70377050)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ロマン派 / 国民小説 / リアリズム / ロマンス / イギリス / アイルランド / 文学史 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、1.前年度に引き続き近年のイギリス文学批評、アイルランド文学批評における「リアリズム」と「ロマンス」の定義をめぐる論争の問題点の確認をおこなった。2.Michael Gamerに再評価された「現実のロマンス」という小説サブジャンルの主要作品(シャーロッテ・スミス、クレアラ・リーヴ、アメリア・オーピーらの作品)を検証した。特に、代表作であるスミスのThe Romance of Real Life (1787)に注目し、底本のFrancois Gayot de PitavalによるCauses Celebres et Interessantes avec les Jugemens Qui les Ont Decidees (1735-44)とFrancois Richerによるヴァリエーションに対するスミスの問題意識と語りの技巧を考察した。真正であるとされている「事実」に対する固執と並行し、作品が興味深くなるようにプロットや構成、語りの技巧の改良を追求する作品の試みは特筆すべきである。また、本作品が教訓を発信する役割をスミスが重視していることは示唆深く、スミスの教育言説の概観とあわせて考察した。また、リーヴ、オーピーらの作品も、「リアリズム」と「ロマンス」の交錯という点で、3.であげる作家群の作品と重要な関連性があることを確認した。3.イングランドないしグレイト・ブリテンとの「合同」という「政治的現実」を連合王国の周縁部から経験したマライア・エッジワースやエリザベス・ハミルトンらの主要作品の先行研究の問題点の整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度実現できなかった海外調査が実施できたため
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今後の研究の推進方策 |
最終年度ということで、必要に応じてケース研究の対象を調整する。
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