研究課題/領域番号 |
25370282
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
岩上 はる子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40184858)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ディキンズ / サトウ / 日本研究 / 日本アジア協会 / 南方熊楠 |
研究概要 |
本研究はこれまでに行ったF.V.ディキンズ書簡研究を土台に、最終的にはディキンズに関する初の評伝をまとめることを目指している。これまで断片的に行ってきた伝記調査で空白となっている部分を集中的に調査し、全体像をつくり上げる予定である。 初年度は、ディキンズの経歴のなかで空白となっていた1877年から1882年までの動向について、来日以来の友人であった外交官アーネスト・サトウとの交流を辿ることによって明らかにすることとした。サトウがディキンズに充てた書簡およびサトウによる日記を一次資料とし、さらに日本アジア協会に関する研究書などを二次資料として調査した。 調査の結果、サトウによる『日本旅行日記』に対するディキンズの貢献が多大なものであったことや、1871年の再来日後のディキンズの活発な活動が跡づけられた。1879年1月に突然日本を離れた後のディキンズの足取りがつかめなかったが、サトウ書簡の記述を精査することで、ディキンズが日本研究を継続する一方、弁護士業を求めてロンドンと生まれ故郷マンチェスターを行き来しながら、エジプトの領事裁判所に短期間勤務していたことが突き止められた。 上記の調査と併せて、英公文書館のEngland Censusを調査することで、ディキンズの家族構成を明らかにすることができた他、英国図書館のNewspaper Libraryによってディキンズの父親や兄弟、ディキンズ自身に関連する記事を収集することができた。 これらの研究成果は、英学史学会関西支部『関西英学史研究』第8号(2014)に採択され現在、校正中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画はこれまでの資料整理と評伝の構成案の作成を行い、はじめにディキンズの再来日期間(1871-79)について調査することを計画していた。調査項目の一つ目に、来日早々に弁護を担当することになったマリア・ルス号裁判におけるディキンズの役割を調査することをあげていた。二つ目に日本アジア協会における活動を調査することを予定していた。ところが、これらの関係資料を所有する横浜開港資料館が工事により長期にわたって休館し、資料の閲覧ができないことが判明した。 そのため、次年度以降に予定していた、ディキンズの離日後の空白部分の動向についての調査を先行させ、サトウ書簡およびサトウ日記を主な資料として考察することとした。また引退後のディキンズが居住したウィルトシャー州シーンドに関する調査やディキンズの家族構成の調査なども行った。調査項目の順序の入れ替えはあったものの、初年度の研究成果は論文にまとめることができたので、全体計画についてはおおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に予定されていた「マリア・ルス号裁判」「日本アジア協会」についての研究を行う。ただし、いずれも単独で取り上げても大きなテーマであり、焦点を絞る必要がある。 「マリア・ルス号裁判」については、ディキンズの日本での裁判活動の一つとして捉え、他にどのような事例を処理していたのかを『ジャパン・メール』の記事を検索することで調査する。その上で、領事裁判の問題を日英関係を背景に考察するという視点をもって進める。 「日本アジア協会」の研究は、その会報を精査することによって設置の目的、活動内容、参加者などの概要を把握することから始める。協会の発足の背景を、イギリス本国における日本研究の展開と関連づける必要もある。ディキンズの活動を上記の背景のなかで捉えていく視点をもって進める。 上記の課題のいずれを進めるかは資料の入手状況によって判断する。なお、本年度も公務が多忙なため、研究時間の確保と調査活動の日程の確保が大きな課題である。それに対しては、できる限りオンラインを使っての資料収集に努め、成果の出し方については、断片的であっても小さなテーマを積み上げる形で進めることで、全体像の完成へと近づくようにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額が生じた理由は、購入を予定していた資料が品切れのため入手が遅れていること、さらに校務が多忙をきわめ国内での資料収集や学会出席が予定どおり実施できなかったことによる。 品切れの資料については古書などを調査し入手に努める。本年も引き続き校務が多忙であるが、長期休暇を利用して資料収集の出張を行い、学会への出席も日程を確保するように努める。
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