研究課題/領域番号 |
25370290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
中地 幸 都留文科大学, 文学部, 教授 (50247087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 英語俳句 / モダニズム / オリエンタリズム / アールデコ / エキゾティシズム / トラウマ / ジャポニスム / アフリカ系アメリカ文学 |
研究概要 |
7月にパリで開催されたICLA(国際比較文学会)で "On the Translation of Japanese Haiku by R. H. Blyth"を発表した。またこのテーマをさらに深め、1月には、ハワイ国際人文芸術学会にて、BlythとHendersonの俳句翻訳の方法と理念を比較した英語論文を発表した。 研究論文は以下のものを執筆し、出版した。一つは「ハーレム・ルネッサンスにおけるプリミティヴィズムとネグロフィリア―『新しい黒人』とアーロン・ダグラス」という論文で、アフリカン・アメリカン・モダニズムとアールデコの関係性を論じた。内容は、文学表象と芸術表象において、エキゾティシズムを1920年代のアフリカ系アメリカ人がどのように活用し、それをブラック・パワーの表象へと変容させていったかをたどるものである。これは都留文科大学文学部英文学科50周年記念論文集として2014年3月に出版された『言語学、文学そしてその彼方へ』(ひつじ書房)に収められた。 もう一本は、「八島太郎のトラウマ・ナラティヴ―ー『新しい太陽』と『水平線はまねく』」で、アメリカで絵本作家として活躍した八島太郎に焦点をおいた論文である。こちらは早稲田大学の小林富久子監修の『憑依する過去―ーアジア系アメリカ文学におけるトラウマ・記憶・再生』(金星堂)に収められた。 翻訳として、エドワード・マークスの著作『レオニー・ギルモアーーイサム・ノグチの母の生涯』(彩流社)を共訳出版した。そのほか宮本亜門演出の演劇iSAMにエドワード・マークスが寄せたイサム・ノグチについての随筆の翻訳を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アーロン・ダグラスに焦点を絞り、ブラックデコとアフリカン・アメリカン・モダニズムについて深めることができた。この論文を通して、ダグラスがドイツ人画家ヴィーノルド・ライスから引き継いだ手法を駆使しながらも、その作品の中で奴隷制の記憶を再生し、ブラック・アイデンティティを強調していったかを考察することができた。また、北欧、およびベルギーに調査に出かけたが、奴隷貿易と平行して発展したシノワズリー芸術にふれることができた。ネラ・ラーセンの作品に現れるコペンハーゲンについても調査ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後計画にそって研究を推進していきたいが、奴隷貿易とシノワズリー表象(アジア表象)を考えるのに、西インド会社、および東インド会社についてさらに調べることが必要であろうと感じている。またジャポニスムとアフリカ系アメリカ人との関係をさらに調べ発表していきたい。
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