最終年度には研究成果公開事業として、本研究のまとめとなる国際学術集会を開催した。17世紀イギリスの書物史(Book History)を中心的テーマに据え、英国ヨーク大学からグレアム・パリー名誉教授を招聘し、日本国内の英文学、その他文学、歴史学等関連分野の研究者、学生、一般の方々に参加してもらい、書物史の諸相に関して活発な研究発表・意見交換の機会を設けることができた。この研究集会は28年10月に甲府市藤村記念館を会場に開催した。終了後、この事業における発表論文を収録した研究報告書を作成した。 また、これとは別に、国際会議の席で近世日英における書物の受容を扱う論考を発表し、海外研究者からの貴重な意見交換を行うこともできた。さらに研究を深め、次の段階に発展するよう考察を進めていく所存である。 英国での現地調査を行った際には、研究協力者との面会、研究打ち合わせを行い、研究課題に関して考察を深めると同時に、新たな知見を得ることができた。本課題終了後も、継続して近世英国書物史研究を進めるために連携していくことを確認した。現地においては文献資料の閲覧および収集も関係者のサポートをいただきながら順調に行うことができた。 本研究は、書物史の観点から17世紀を中心とする近世英国の書物と社会、書物と人間の関係を解明することを目的とし、書物が作り出される背景・経緯、書物の受容、蔵書家の活動、著者・書籍商・読者の関係など、具体的な事柄を明らかにするため国際的な学術交流を行いながら考察を行い、成果を上げることができた。
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