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2013 年度 実施状況報告書

<女の悲劇>の再評価―18世紀劇場とセンチメンタリズム言説の影響関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370300
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東北学院大学

研究代表者

福士 航  東北学院大学, 文学部, 准教授 (10431397)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード英米文学
研究概要

本研究では、〈女の悲劇〉が、18世紀劇場文化の発展に重要な貢献をしていたことを明らかにすることを目的とする。これらの劇の表現する「感情」を鍵語とし、劇テクスト、演技理論、観劇記録などを総合的に検討することで、感情共有の体験を提供することが劇団側の根本的な目的であることを確認する。アリストテレス以来、悲劇の表現すべき感情は恐怖と憐れみの二つとされてきたが、〈女の悲劇〉は、より「売れる」憐れみの表現に特化し、どういう人物が、どのような状況に陥った時に、観客がもっとも同情できるかを実験的に追求し、観客に憐れみの感情を共有する体験を提供しようとしたジャンルであることを明らかにしたい。
平成25年度には、基礎研究に重点をおき、特に演劇テクストの精読を中心に行った。Thomas OtwayのThe Orphan やVenice Preserv'd、Thomas SoutherneのThe Fatal Marriage、Nicholas RoweのThe Fair Penitentを、それぞれの劇作品のヒロインを中心に分析した。いずれの劇でも同一の女優Elizabeth Barryがヒロインを演じていること、ヒロインが感情を吐露する台詞が長くとられていること、ヒロインが狂気に陥る役柄であること、同時代人による観劇記録などから、感情のいわば触媒として、当時の女優の第一人者であったBarryが、キャリアの円熟期にあって、〈女の悲劇〉のジャンルの成立に深く関わっていたことを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

基礎研究を主な課題とした当該年度において、精読すべき演劇テクストはほぼすべて分析を終えた。同じく分析の主な柱となる演技理論テクスト、観劇記録の収集・分析も順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

当初の予定どおり、平成26年度にも基礎研究を重点的に行う。劇テクストと並んで重点的課題の一つである、センチメンタリズム言説関連の一次資料と学術書の収集・精査を中心的に行う。
基礎研究と平行して、その時点までの成果を学会で発表することにより、他の研究者からの批判・助言を含むフィードバックを受けることを目指す。それにより、研究の客観性・妥当性を高め、必要に応じて適宜研究の修正を行う。翌年度に機関誌に投稿する論文作成を見据え、紀要論文あるいは学会プロシーディングスなどの形で、いちど論文のアイディアを文章化し発表することを目指す。

次年度の研究費の使用計画

図書などの物品の選定に、時間が予定以上にかかったため。
図書を購入するさいの物品費と、資料収集のための複写費などに充てて使用する。

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公開日: 2015-05-28  

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