本研究では20世紀のアメリカ演劇に於ける戦争表象の実践を調査した。本研究の特徴は、第二次世界大戦中から戦後にかけての演劇がその当時台頭していた戦争の写真や映像との拮抗の中で独自の表象可能性を探り、写真や映像では到達しえない倫理の地平を切り開いたことを明らかにすることであった。研究期間中は主に20世紀アメリカの代表的な劇作家リリアン・ヘルマンとテネシー・ウィリアムズの戦時中から戦後にかけて発表・上演された作品のテクストをその当時の映像文化との比較対照を通じて精読し、彼らの作品の根底にある平和のレトリックを探ることを試みた。
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