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2013 年度 実施状況報告書

16世紀イングランドにおける枢密院顧問官の詩人庇護に関する歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370304
研究種目

基盤研究(C)

研究機関慶應義塾大学

研究代表者

井出 新  慶應義塾大学, 文学部, 教授 (30193460)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード英文学
研究概要

当研究の目的は、これまでパトロネッジに関する史料として扱われてこなかった一次史料を丹念に掘り起こしながら、枢密院の庇護という角度からその史料を再検討し、枢密院庇護の実態に光を当てる史料として読み直すこと、またそれによって枢密院とクライアントとの信用に基づく継続的な関係性を再構築することであるが、今年度はNicholas Baconが大学学寮などに対して奨学金や寄付金という形で与えた庇護の実態と、それによって形作られることになる文人のネットワークについて研究を行った。とりわけNicholas Baconが文人クライアントを育成するためにケンブリッジのコーパス・クリスティ学寮に設けた奨学金制度に関する一次史料を基に、Baconが庇護した学生や教員の人脈ネットワークを再構築することを目指し、そのためにノーフォーク古文書館及びケンブリッジ大学コーパス・クリスティ学寮古文書室において、マニュスクリプトを中心に調査を行った。注目したのは、1570年代にBaconが大学学寮の文人たちとどのような環境で接点を持ち、どのように庇護関係が成立し、どのくらいの期間それが継続するのか、という問題であったが、調査の結果、Sir Nicholas BaconがAlexander Nowell (Dean of St Paul’s)及びRobert Norgate (Master of Corpus Christi College)との間に結んだ寄付金制度に関する契約書や覚え書きなどの重要な史料を発見し、それらの史料を基にBaconの周囲に成立していた学寮のネットワークとその経過を再構築し、論文に纏めた。現在、海外ジャーナルに投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

調査によっていくつかの新史料が見つかり、Nicholas Baconを巡る枢密院パトロネッジの実態に迫ることができた。それを基に論文の作成まで漕ぎ着けたという理由によって、概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

調査の進行状況に応じて、次にどのような作品や史料に焦点を絞るかは変わってくると思われるが、GascoigneとBaconに関する調査がある程度成果を収めた段階で、Christopher Marlowe及びThomas Watsonらの詩人・劇作家と顧問官Francis Walsinghamとの庇護関係に関する周辺的な一次史料と二次史料の収集・調査へと移行していく。それに伴って、エリザベス治世下における演劇史の文献を収集し、読み進めるという作業も連動して行う予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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