本研究では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した女性作家イーディス・ウォートンの作品を中心にその思想と手法の変遷を検証することで、女性の知識人の社会的地位がどのように構築され、そして表象されてきたかについて明らかとした。具体的には、ウォートンに与えた同時代の女性知識人の影響について考察することで知性の表象にはジェンダーの問題が深く関わっていたことがわかった。次に、当時の反知性主義と教育について分析し、世紀転換期における社会の変容が女性の知性のあり方と自己表象に大きく変化をもたらし、その変容に対するウォートンの視点が、当時の女性作家にあって独自の視点であるという結論が得られた。
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