研究課題/領域番号 |
25370329
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
阿部 曜子 四国大学, 文学部, 教授 (60294732)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グレアム・グリーン / 冷戦 / 第二次世界大戦後 |
研究実績の概要 |
本研究はグレアム・グリーンが、第二次世界大戦後から冷戦初期にかけての新聞や雑誌等に寄せた数多くの記事とこの時期に書いたフィクションを検証し、メディアと文学がどのように相互影響を与えながら、激動期におけるポリティカルな言説空間を形成していったかを考察するものであるが、3年目にあたる27年度は、予定通り、冷戦初期の関連資料の収集とその分析を中心に行った。具体的には以下の通りである。 1.冷戦初期イギリスの文学や文化が、政治的な状況といかに関わってくるかを知るための資料や、グリーン自身がこの時期に書いた記事等の収集を、ロンドンの大英図書館で行った。 2.グリーンの秘書を長年勤めたジョセフィーヌ・リードがグリーンと交わした往復書簡やメモが、初めて研究者に公開されることになったので、オックスフォード大学ベリオール・カレッジの歴史資料館に行き、グリーン手書きの書簡やメモから、映画関係者や出版業者との交友関係を知ることができた。 3.日本キリスト教文学会のミニ・シンポジウム「女性が<語る>グレアム・グリーン文学」のコーディネーター兼パネリストの一人として参加した。(発表者の表題は「グレアムグリーン文学の三角形」) 4.1950年代を中心に、冷戦初期グリーンの反米主義に焦点を当て、彼が新聞や雑誌などに寄せた記事を中心に分析し、論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスの大英図書館等で資料収集も行うことができたし、それらの一部を基に、1950年代のグリーンのポリティカルな言説についての分析・考察を、平成27年度末までに紀要論文としてまとめることができた。(出版は平成28年5月)
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成28年度は、冷戦の一つのターニングポイントとも言える「キューバ危機」前後の世界情勢を広く視野に入れつつ、グリーンのフィクションOur Man in Habana やこの時期の彼の政治的言説を検証・考察し、学会で発表したり、論文としてまとめる予定である。またそのプロセスで資料の確認やさらなる収集等の必要が生じた場合は、大英図書館に再度赴くつもりである。
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