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2015 年度 実施状況報告書

奴隷解放以前のアメリカ黒人文学へのイギリス社会運動の影響

研究課題

研究課題/領域番号 25370332
研究機関名古屋経済大学短期大学部

研究代表者

進藤 鈴子  名古屋経済大学短期大学部, その他部局等, 教授 (80461911)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード米文学
研究実績の概要

今回の科研費による研究の目的のひとつは、1850年にアメリカで逃亡奴隷法が成立した後、イギリスへ逃亡、あるいは亡命したアメリカの奴隷たちの反奴隷制運動の足跡を1850年代のイギリス社会に照らして、明らかにすることである。1619年にアフリカ大陸からの奴隷たちが最初に陸揚げされたのは、北米初のイギリス植民地ジェイムズタウンであった。その後、240年余り続く奴隷制度の礎を作ったのが大英帝国である。宗主国にとっての奴隷貿易と奴隷制度の歴史と意義を知るため、2015年夏、イギリス、リヴァプールのアルバートドックにある国際奴隷制度博物館と海洋古文献図書館を訪問した。加えて、キングストン・アポン・ハルにある「ウィルバーフォース・ハウス・ミュージアム」にも足を伸ばした。不思議なことにアメリカには、このような体系的な奴隷制度についての歴史や思想をまとめあげた公開の大規模施設はない。奴隷貿易及び奴隷制度がどのような経緯で始まり、誰がどのように利益を獲得し、分配し、国家の資産としていったか、また、どのようなグループが、また社会階層がその廃絶に尽くしたかが理解できた。非常に貴重な経験であった。
1850年代、イギリスに留まった多くの逃亡奴隷がイギリス社会で反奴隷制運動を展開する中、1853年からリヴァプール領事として赴任したのがアメリカ古典作家でもあるナサニエル・ホーソーンである。文学者ホーソーンが政治家として奴隷制度や人種問題、また当時イギリスが抱えていた様々な社会問題にどのような見解を持っていたのかを、「ゴムの良心とリアリズム――政治家ホーソーンがイギリスで見たもの」という論考にまとめた。2016年5月発行の『ホーソーンの文学的遺産:ロマンスと歴史の変貌』に共著者として名を連ねる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度に病を得、最初の研究が遅れ、次年度へとずれ込んでいったため。

今後の研究の推進方策

1850年の逃亡奴隷法成立を前後してイギリスに渡って反奴隷制運動を展開していたウィリアム・ウェルズ・ブラウンの作品を中心に研究し、彼や、やはりこの法律施行後イギリスに亡命していたクラフト夫妻らをイギリス社会、特に、貴族社会と女性団体がどのように支援したかを検証したい。
体調の関係で、今期の海外出張は不可能となることが考えられるが、出張して得られる文献、資料を他の手段で獲得できるような物品、消耗品、及び文献(及び、ソフト)を購入することになるかもしれない。

次年度使用額が生じた理由

科研費補助が始まった平成25年度の夏に病を得、その治療のために、当該年度後半に予定していたすべての研究の執行を諦めざるを得なくなり、研究内容に予想外の遅れが生じることとなった。そのため、初年度の執行を2年目に、また、2年目の執行を3年目に執行することとなった。また、最終年度となる平成27年度末に1年間の補助事業期間延長の願いを提出し、受理されている。

次年度使用額の使用計画

本来最終年度である平成27年度に予定していた研究を4年目である平成28年度に予定通り執行する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 図書 (1件)

  • [図書] ホーソーンの文学的遺産:ロマンスと歴史の変貌2016

    • 著者名/発表者名
      進藤鈴子
    • 総ページ数
      462
    • 出版者
      開文社

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公開日: 2017-01-06  

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