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2013 年度 実施状況報告書

ジョージ・A・バーミンガムを中心に、北アイルランド小説の普遍的意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370334
研究種目

基盤研究(C)

研究機関別府大学短期大学部

研究代表者

八幡 雅彦  別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50166568)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード北アイルランド / 小説 / 普遍性 / 融和 / ユーモア / ナショナリズム / ユニオニズム / キリスト教
研究概要

北アイルランド小説の普遍的意義を実証するに当たってジョージ・A・バーミンガムとグレン・パタソンを重点的に研究した。
パタソンの新作『老人をすり潰して若返らせる製粉所』(2012)は、北アイルランド問題がヨーロッパ的な意義を持つこと、北アイルランドは紛争を乗り越えて発展し続けていることを示した小説である。そのことを国際アイルランド文学研究協会、日本アイルランド協会文学研究会、熊本アイルランド協会、大分県アイルランド研究協会で口頭発表した。
バーミンガムの研究に関しては、当初、交付申請書ではアイルランドに行って資料収集を行う予定だったが事情により不可能となり、その代わりにアメリカに行って、ダラス在住のバーミンガムの曾孫に当たるジェイムズ・オウエン・ハネイ氏に会い、話しを伺うとともに家系図その他貴重な資料を提供頂いた。中でも、バーミンガムの息子のジェイムズ・フレデリック・ウィン・ハネイ氏が書いた未発表の自叙伝は、バーミンガムに関する新事実を教えてくれると同時に、彼の子孫たちが彼の遺志を受け継いで活躍していることを教えてくれた。特にオウエン・ハネイ氏は、実業家として活躍すると同時に、バーミンガムの願望であった「宗教・人種を越えての融和」を成し遂げている。その後、テキサス大学オースティン校図書館で、長年探し求めていたバーミンガムの処女短編小説を発見した。同じくハリー・ランソムセンターでは、ジョージ・バーナード・ショーがバーミンガムに宛てた幾つかの手紙を調査し、彼がいかにバーミンガムを高く評価していたかを知ることができた。年末の日本アイルランド協会年次大会では、バーミンガムの初期のふたつの小説がいかにアイルランドの歴史を揺り動かしたかを、ダグラス・ハイドとバーミンガムの書簡の分析を通して発表した。今後はバーミンガムが、文学史に著名作家たちに与えた影響を解明する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度当初に立てた論文発表1本、学会発表3回、一般向け講義2回、ホームページの更新という予定をいずれもこなすことができた。海外における研究調査に関しては、当初アイルランドのダブリンとウェストポートで資料収集の予定であったが、事情により不可能となった。しかしその代わりにアメリカに行き、バーミンガムの曾孫に当たる方に会い、貴重な資料の提供を受けた。またテキサス大学図書館でバーミンガムの処女短編小説を発見し、ハリー・ランソムセンターでジョージ・バーナード・ショーとバーミンガムの書簡の調査にも当たることができた。アイルランドで予定通りできなかった調査研究を十分にカバーできたと思っている。

今後の研究の推進方策

バーミンガムの研究に関しては、彼が文学史上に名を残す作家たちに与えた影響を解明することにより彼の作品の持つ重要性を実証する。昨年度はバーミンガムとダグラス・ハイドの書簡の調査分析を通して、バーミンガムの初期小説がいかにアイルランドの歴史を揺り動かしたかを示した。ただしこれまではハイドがバーミンガムに宛てた手紙の分析が中心であったが、今後はバーミンガムがハイドに宛てた手紙も探り当て調査研究を行うことによってさらに深く掘り下げる。またバーミンガムは「善と悪」「ユーモア」に対する強い関心でグレアム・グリーンに影響を与えた。今後はグリーンの小説を読むことによってなぜ彼がバーミンガムに関心を抱いたかを解明する。他にもW.B.イエイツはバーミンガムの神学書に影響を受けた詩を書き、別の2人のノーベル賞作家ラドヤード・キプリングとジョージ・バーナード・ショーはバーミンガムと親交があった。彼らがなぜバーミンガムを高く評価していたかを解明する。
バーミンガムは61冊の小説を発表した。今後は未読のバーミンガムの小説、そして神学書を始めとするノンフィクション作品を読むことによって彼のユーモアの神髄をさらに掘り下げる。そしてバーミンガムの作品の持つ普遍的意義を論文、学会発表ホームページを通して紹介を続け、最終的には研究書としてまとめる。
その他の北アイルランド小説に関しては、グレン・パタソンを中心とする現代作家たちの研究を続行する。1998年のベルファスト和平合意以降、北アイルランドには、シャロン・オウエンスを始め、紛争以外の題材をテーマとした小説を書く若手作家たちが現れ始めた。今後は実際に彼らに会ってインタビューすることも含め、彼らの作品の分析を通して北アイルランド小説のグローバル性を実証する。
研究を遂行する上での課題は時間の確保である。指定休、夏・冬・春の長期休暇を有効に活用するつもりである。

次年度の研究費の使用計画

3月に支払ったホームページ(http://geo-birmin.com)の更新料が想定よりも安かっため。
研究図書購入のために使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ジョージ・A・バーミンガムの小説『宥和策』-報われた「善意」と「宥和策」が意味するもの-2014

    • 著者名/発表者名
      八幡 雅彦
    • 雑誌名

      別府大学短期大学部紀要

      巻: 第33号 ページ: 49-59

    • 査読あり
  • [学会発表] Glenn Patterson の新作小説 "The Mill for Grinding Old People Young"

    • 著者名/発表者名
      八幡 雅彦
    • 学会等名
      日本アイルランド協会文学研究会
    • 発表場所
      立教大学
  • [学会発表] ベルファストを歩く-小説家グレン・パタソンとともに-

    • 著者名/発表者名
      八幡 雅彦
    • 学会等名
      熊本アイルランド協会市民講座
    • 発表場所
      お菓子の香梅帯山店
    • 招待講演
  • [学会発表] Glenn Patterson, "The Mill for Grinding Old People YOung": Belfast Represented in a European Context

    • 著者名/発表者名
      八幡 雅彦
    • 学会等名
      国際アイルランド文学協会日本支部大会
    • 発表場所
      京都ノートルダム女子大学
  • [学会発表] ジョージ・A・バーミンガムとゲーリックリーグ-アイルランドの歴史を揺り動かしたふたつの小説-

    • 著者名/発表者名
      八幡 雅彦
    • 学会等名
      日本アイルランド協会2013年度年次大会
    • 発表場所
      松江市民文化センター
  • [備考] 小説家ジョージ・A・バーミンガム

    • URL

      http://geo-birmin.com

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公開日: 2015-05-28  

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