研究課題/領域番号 |
25370334
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研究機関 | 別府大学短期大学部 |
研究代表者 |
八幡 雅彦 別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (50166568)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 北アイルランド小説 / ジョージ・A・バーミンガム / グレン・パタソン / G.B. ショー / 北アイルランド問題 / ユーモア / 融和 / 普遍性 |
研究実績の概要 |
8月下旬にダブリン大学トリニティ校の古文書研究図書館を訪れ"THe Papers of J.O. Hannayの調査研究に当たった。演劇 "General John Regan" (1913)の上演に関してバーミンガムがロンドンの代理人、劇団主宰者等と取り交わした手紙を収集した。平成25年度に米国テキサス大学オースティン校のハリー・ランソムセンターで収集した、バーナード・ショーがバーミンガムに宛てた手紙と併せて"General John Regan" 誕生のいきさつを探り、ショーをはじめ多くの文学関係者がこの演劇を高く評価していたことを解明し、平成26年10月の日本英文学会九州大会で研究発表し、『別府大学短期大学部紀要』第34号に論文発表した。またアイルランド国立図書館でバーミンガムの神学署 "Can I be a Christian"(1923)を読み、彼の深いキリスト教信仰心を知った。それが彼の小説にどのような影響を及ぼしたかを今後解明する予定である。さらにメイヨー県キャスルバー図書館でLottie McManus,"White Light and Flame"(1929)を読み、バーミンガムがアイルランドのカトリック教徒からなぜ反感を持たれていたかを知った。 現代北アイルランド小説に関しては、クレア・アランの"The First Time I Said Goodbye"(2013)とグレン・パタソンの"The Rest Just Follows"(2014)を読み、今まで読んできた最近の北アイルランド小説と併せて論考し、1998年のベルファスト和平合意医以降、北アイルランド小説がどのように変貌を遂げてきたかを平成27年3月に日本アイルランド協会『エール』第34号に論文発表した。 北アイルランド小説に関して未知の事実と普遍性を示したことで意義と重要性のある研究であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りにダブリン大学トリニティ校古文書研究図書館、アイルランド国立図書館、メイヨー県キャスルバー図書館図書館でバーミンガムに関する研究を行い、日本英文学会九州支部大会での研究発表、『別府大学短期大学部紀要』第34号への論文発表ができた。バーミンガムのホームページに関しても作品の内容と参考文献をアップデートすることができた。現代北アイルランド小説に関しても、予定通り日本アイルランド協会『エール』第34号に論文発表ができた。 ただ平成26年5月に予定していた日本アイルランド協会文学研究会での現代北アイルランド小説に関する研究発表が、天候不順による飛行機のキャンセルでできなくなってしまったのが誤算であった。
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今後の研究の推進方策 |
当研究者の研究課題は北アイルランド小説の普遍的意義であるが、今後は北アイルランド小説が示す「ユーモア」の普遍的意義に焦点を当てて研究する。北アイルランドは、ジョージ・A・バーミンガムの時代以前からイギリスとの紛争に苦しんできた。紛争に苦しみ、それを克服しようとする北アイルランドの人々はユーモアと優しさに溢れている。バーミンガムやパタソンはそのような人々を描き続けてきた。アイルランド自体が過去からユーモアのセンスで有名な国だが、それらと比較して北アイルランド小説が示すユーモアの独自性と世界の人々の心に訴える普遍性を解明したい。今後は実際に北アイルランドの小説家たち、ダブリン大学トリニティ校の研究者たちに出会い、北アイルランドの社会、文化、文学等に関して議論を行う予定である。 研究を遂行する上での課題は手に入りにくい文献があることだが、インターネット等を通して根気よく探すつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年3月にジョージ・A・バーミンガムに関するwebページに新たに研究したことを書き加え、業者に更新をお願いした。その際、英文をネイティヴにチェックしてもらった。業者への更新費用の支払いとネイティヴへの謝金の支払いが翌年度の4月となった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の支払額は業者へ29,000円、ネイティヴへの支払いが5,000円である。残りの使用計画は、書籍の購入に充てる。
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備考 |
ジョージ・A・バーミンガムに関して、略歴、作品、参考文献、研究機関を紹介した日本文、英文によるwebページである。
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