ジョージ・A・バーミンガムを中心に日本ではあまり読まれることのない北アイルランドの小説家たちの、時と国を超えた普遍的意義の解明を試みた。バーミンガムに関しては、ダグラス・ハイドとの書簡の調査をもとに、彼の初期の政治小説がアイルランドの歴史を変えてしまうほどの影響力を持っていたことを実証した。この騒動がもとでバーミンガムは、キリスト教聖職者の立場から、人間の融和のためにはユーモアが不可欠であることを訴える小説を書き続けた。またバーミンガムの子孫に出会い、貴重な資料を提供してもらえたことも今後の研究につながる大きな成果だった。
|