計画どおり、江口佳子、渡辺一史、宮入亮、花田勝暁の4名を研究協力者とし、以下のとおり実施した ①19世紀~20世紀初頭のブラジルの演劇・文学における喜劇性の研究:ブラジルの喜劇の成立に重要な役割を果たしたアルトゥール・アゼヴェードの演劇について、『連邦首都』の分析を通して考察した。そこからは、マルチンス・ペーナやフランシスコ・ヴァスキスが作ったブラジル喜劇の伝統を継承して、ブラジルの社会独自の田舎と都市のずれや秩序と脱-秩序のずれを組み込むことで創りあげた、ブラジルの人や社会を自虐的に笑う「ブラジル流喜劇」の姿が浮かび上がった。 ②研究協力者と全5回にわたる研究会を実施し、ブラジルとポルトガルにおけるモデルニズモ運動の意義や展開について考察したほか、講演会を実施し、カポエイラの社会的な役割と文化的な特徴について検討した。また本研究の成果をもとにブラジルのリオデジャネイロ州立大学で開催された「第7回古典および東洋文学学会で招待基調講演「マシャード文学から浮かび上がるブラジル」を行なった。 ③本研究の総括としてシンポジウム「ブラジル文化のアリーナ―逸脱の文化表象」を開催し、本研究の総括を行なった。シンポジウムは二部から成り、第一部「ブラジル文化のアリーナ」では研究協力者が成果を発表し、第二部「逸脱の文化表象」では、これまでの研究会の外部講師の参加を得て、ブラジル文化の代表とされるサンバ、カポエイラに共通して見られる特質についてディスカッションを行なった。(於:青山CAY) ④海外調査および資料収集:武田千香と宮入亮がブラジルにて資料および情報収集を行なった。
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