共和政末期からアウグストゥス帝の治世にかけて現われてくる「ローマ人」像をめぐって、ラテン文学作品を中心とする関連文献を検討した。主要成果はつぎのとおり。①カエサル関連著作、すなわち、『ガリア戦記』『内乱記』『アレクサンドリア戦記』『アフリカ戦記』『ヒスパーニア戦記』の邦訳注解の出版。②ウェルギリウス『アエネーイス』に関し、「葬礼」のモチーフや、ユートゥルナの役割と機能をめぐる新たな解釈の提起。③カエサルの著作中に示された戦争と関わる噂のさまざまな働きをウェルギリウスとオウィディウスが各々の「噂」の描写に生かした独自の表現についての観察と解釈。④ホラーティウス『書簡詩』の邦訳注解の完成。
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