フランスロマン主義の先駆者スタール夫人とロマン主義最盛期の女性作家サンドの作品・書簡中の「国境を越えること」と「性を越えること」について考察した。彼女らの著作の内容、文体、間テキスト性、文学史上の位置づけや影響関係などを検討することにより、音楽と旅による国家とジェンダーの越境のありさまとその射程を明らかにするのが本研究の目的であった。申請者は3年の期間中にサンドと音楽に関する共著書1冊、サンドとスタール夫人についての論文4本を発表し、サンド研究の最前線として世界的に認められたジョルジュ・サンド事典(フランスで刊行)の項目執筆を行い、3回の学会発表を行った。所期の目的を十分達成したと言える。
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