研究課題/領域番号 |
25370367
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研究機関 | フェリス女学院大学 |
研究代表者 |
原口 尚彰 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (60289048)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 新約聖書 / ローマ書 / パウロ / 修辞学的考察 / 釈義 / 神学的考察 |
研究実績の概要 |
今年度はローマ書1-8章の釈義的・神学的検討を逐次進めることが出来た、新約聖書のギリシア語本文を正確に読み取る基礎作業を行った上に、修辞学的考察と神学的・思想史的な考察を加えて、本文が意味する内容を明らかにした。こうした準備作業を基礎として、ローマ書の各章各節についての注解を書き進めた。年度末には注解書の上巻部分の草稿を完成することが出来て、2016年度中に出版するために原稿・電子データを出版社に送付した。以後は、出版社と協力しながら、準備作業を続けていくことになる。 ローマ書前半部に出て来るギリシア語名詞ピスティス(信実、真実、信仰)の意味について語学的・神学的に考察し、「イエス・キリストの信実か?、イエス・キリストへの信仰か?」という論文にまとめ、日本基督教学会の機関誌『日本の神学』第54号(2015年6月発行)76-95頁に発表した。 パウロの生命観も含む新約聖書の生命観全般にわたる考察「新約聖書の生命観」を、東北学院大学キリスト教研究所発行の『キリスト教文化研究所紀要』第33号(2015年6月発行)1-12頁に発表した。 ローマ書5章と8章においては神の愛とキリストの愛が重要なテーマとなっているが、パウロの愛についての包括的な考察である「パウロにおける愛の教説」を、フェリス女学院大学キリスト教研究所の機関誌『フェリス女学院大学キリスト教研究所紀要』創刊号(2016年3月発行)21-42頁に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前半は、東北学院大学から、フェリス女学院大学に移ったために、新しい環境に慣れ、研究の体制を再構築するのに数ヶ月を要したが、半ば以降は本来の研究ペースを取り戻し、順調に研究の基礎作業を推進することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
過去三年の研究作業の基礎の上に立って、ローマ書の後半部分である9-16章の釈義的・神学的考察を推進する。その成果は近い将来、注解書の下巻の形で公刊することになっているので、今年度中にその準備作業の主要部分を終えたいと考えている。 その過程で、遭遇する重要な主題については、深く考察して、随時学会発表や論文の形で公表し、研究者諸氏との対話に努めたい。
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