研究課題/領域番号 |
25370368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
宮下 志朗 放送大学, 教養学部, 教授 (60108115)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ルネサンス文学 / 出版の文化史 / クリストフ・プランタン / モンテーニュ / ユマニスム |
研究概要 |
本研究は第三期に入るが、研究の実践態としてのラブレーの翻訳(全5巻、筑摩書房、ちくま文庫)は平成24年に終了した。そして本年度(平成25年)、この翻訳に対して、読売文学賞、日仏翻訳文学賞という、2つの賞を授与されたので、これを先ずは「研究実績」の評価として書いておきたい。 続いて、本年度は、モンテーニュ『エセー』の翻訳・註解に従事する日々を送っている。拙訳の『エセー6』は、平成26年度中の刊行を予定している。これと関連して、エチエンヌ・ド・ラ・ボエシーの故郷である南仏の町Sarlat(サルラ)を初めて訪れて、現地調査することができた(町の観光地化に唖然としたが)。「文芸の共和国」としてのプランタン=モレトゥス工房の研究であるが、プランタンの「家事日記」(未刊行)の解読を奨めている。ただし、会計関連の事項において、略語が用いられている場合が非常に多く、完全な意味の把握には、残念ながら、大変に苦労しているというのが実情である。会計関連以外は、比較的解読しやすいので、現在は、もっぱらその部分に集中して、読み込みを行っている。第三期で本研究を終える予定であるので、なんとか解読にも目処を付けたい。 もうひとつの大きな実践態である、『フランス・ルネサンス文学集』全3巻(白水社)は、ようやくほとんどの訳稿が出揃い、現在、編者3人(宮下志朗、伊藤進、平野隆文)で鋭意、編集・校閲を行っている段階であり、平成26年度中には、第1巻が上梓されるにちがいない。ほとんどが本邦初訳の、画期をなすシリーズである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メインとなるプランタン関連の資料は、書簡集など、活字化されたものは、すべて読了し、プランタンの「家事日記」という手書きの資料の解読に手間取っている。ただし、困難さは想定内のことがらである。 一方、関連する実践態の翻訳はラブレーを終わらせ、モンテーニュも残り2巻にまでこぎつけたわけで、こちらは予想外に順調に進んだといえると思う。 以上を総合するならば、「おおむね順調」という評価区分でいいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
上と重なるが、プランタン「家事日記」解読をなるべく早く終わらせて、総合的な考察の段階に突入したい。 関連する実践態としての「翻訳」では、モンテーニュ『エセー』の全訳を、本研究の年度内に達成したい。同じく、『フランス・ルネサンス文学集』については、できれば、今年度中に第1巻のみならず、第2巻も出したいと考えている。
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