研究課題/領域番号 |
25370372
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
縄田 雄二 中央大学, 文学部, 教授 (20251382)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 文化学 / ラインベルガー / シェフナー / デザイン / 図像学 / 書字 / クラハト / シュタインエッカー |
研究実績の概要 |
1. 2014年5月にGoethe-Institut Tokyo(東京ドイツ文化センター)で科学史家ハンス=イェルク・ラインベルガー氏の講演会「自然科学者は未知の事柄をいかに研究するのか」を催し、日本の科学史にも詳しい科学史家・伊藤憲二氏に議論に加わっていただいた。私は導入の話をした。この催しの記録あるいは発展として、岩波書店『思想』2015年2月号で小特集「科学の現場を哲学する--モノの視点から」が組まれた。ラインベルガー氏、伊藤氏の論が掲載され、私も巻頭言「思想の言葉」で本科研の意図に触れたほか、ヴォルフガング・シェフナーの「デザインへの転回--デザインの精神における学問革命」を高次裕氏が訳した。以上、ドイツの文化学(Kulturwissenschaft)の一環としての科学史学あるいは学問史学(Wissenschaftsgeschichte)の近年の進展を示し、それを東アジアから見たのである。
2. 2014年5月に麗澤大学で開かれた日本独文学会春季研究発表会において、私が取りまとめ役を務め、「バロックから今日までのドイツ文化における図像性と書記性――現代の文化学・文学を参照しつつ」と題してシンポジウムを催した。これを記録した同題の論集(縄田編)が、2015年5月に日本独文学会研究叢書の一冊として刊行される予定である。 私は二十世紀初頭のドイツ領ニューギニアを主な舞台とするクリスティアン・クラハトの小説『帝国』(Christian Kracht "Imperium", 2012)を取り上げ、植民地をめぐる言説を文化学の立場から論じた。ほかに、カフカにおける浮世絵受容を論じた山尾涼氏の論文、グラフィック・ノヴェルの国際的な広がりを踏まえてトーマス・フォン・シュタインエッカーの小説『幽霊』(Thomas von Steinaecker "Geister", 2008)を分析したStefan Buchenberger氏の論文なども収め、グローバル文化史と文化学を結びつける論集とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岩波書店『思想』の小特集、シンポジウム論集など、成果を印刷できている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年4月に、本科研費を用いて歴史家・磯部裕幸氏と議論することができ、大いに啓発され、今後の研究会合についても話し合うことができた。ワークショップやシンポジウムを企画したい。
ウィーン大学の連続講義の一回分を担当するよう乞われ、2015年12月に渡欧する予定であるが、これを機に、ヨーロッパのさまざまな研究者と意見交換をするとともに、研究成果を口頭発表してきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度にヨーロッパに出張、研究者と意見交換し、研究成果を口頭発表したい。
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