1)縄田雄二編『マルセル・バイアー詩集『黒鉛』――抜粋訳と解釈 JSPS科研費JP25370372「グローバル文化史から見たドイツ文学・ドイツ思想――現代ドイツの文化学を応用しつつ」成果報告書』(中央大学生活協同組合(東京都八王子市)印刷)を2019年2月に発行した。2015年度にこの詩集を読んだ読書会の成果を正式な報告書としたものである。読書会参加者たちとともに、現代ドイツを代表する作家のひとりであり文化学との関連も深い、バイアーの詩集を分析した。 2)シュトゥットガルト歌劇場は2018年7月、クライスト原作、マルセル・バイアー台本、細川俊夫作曲の新作オペラ『地震・夢』を初演した。2016年度実施状況報告書に記した通り、本研究はオペラ制作に協力した。それだけに、すばらしい舞台となったことを喜ぶ。私は公演パンフレットに地震をめぐる比較文化論の一文を寄せた(Y. Nawata: Anmerkungen zu "ERDBEBEN.TRAEUME")。 3)5月に日本独文学会春季研究発表会で開かれたシンポジウム"Literaturtheorien in der Anwendung"にて口頭発表、ダダの国際比較を本研究の手法で行い、新しい知見を導いた。口頭発表に基づく論文を、シンポジウム名と同じ題名の論集のために準備した。7月にはボーフム・ルール大学(ドイツ)でも同様の内容を講演した。 4)2015年度・2016年度に行った口頭発表に基づき、「一八二七年の幻燈文学――申緯、ゲーテ、馬琴」と題した論考を活字にした。19世紀前半に視覚文化・文字文化の接点で何が生じたかにつき、朝鮮・ドイツ・日本を比べた。 4)2017年度に公にした日本語論文「世界文化史の構想」は本研究の成果であるが、今2018年度は文藻外語大学(台湾)で同様の内容を講演し、英語論文・ドイツ語論文も準備した。
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