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2015 年度 実績報告書

俗語版『秘中の秘』の伝播の研究―西欧中世における養生術の系譜

研究課題

研究課題/領域番号 25370379
研究機関早稲田大学

研究代表者

瀬戸 直彦  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30206643)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード写本 / 養生術 / オック語 / 古仏語 / 古書体学 / ウスタシュ・デシャン
研究実績の概要

最終年度(平成27年度)には,『秘中の秘』というアラビア起源の西欧中世に広く伝播していた一種の百科全書にかんして,とくに四季による養生術についての12-13世紀のラテン語二種と中世フランス語・オック語による多数のヴァージョンを比較検討した上で,北フランスにおける14世紀における著述家ウスタシュ・デシャンの記した「疫病に罹らないための心得を説くバラッド』が,1340年ころのペストの大流行という世相のもとに成立した『秘中の秘』以来の養生術の集大成であるということを提示しました。
3年間にわたる『秘中の秘』の伝播の研究において,従来考慮されてこなかったウスタシュ・デシャンの作品を最終的に,その養生術の行きついた点とみなすことができたのは本研究の成果であると考えます。すなわち,元来は王の統治の仕方を教えるものであったアリストテレスがアレクサンダー大王に宛てた書簡という形式が,その形式を破って短いバラッドの形式に変化したことに注目することができました。
また,オック語版,北フランス語(古フランス語)版の多くが写本のまま未校訂である現状をかんがみ,西欧中世における写本の制作と伝播,書体の変遷につき広い識見をもつドイツの碩学ベルンハルト・ビショッフの大著『西洋写本学』(原題は『古典古代と西欧中世におけるパレオグラフィー(古書体学)』)を,歴史学の佐藤彰一氏(名古屋大学名誉教授)とともに翻訳したことも研究の実績のひとつとみなしたいと思います。これは古書体学の解説にとどまらず,西欧中世の文化の成り立ちの基本にある修道院と写本文化の関係を論じた画期的な基本書で,本課題とも密接に関連するものです。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 巻子本からコーデクスへ―写本欄外挿画が語るもの2016

    • 著者名/発表者名
      瀬戸直彦
    • 雑誌名

      Etudes Francaises 早稲田フランス語フランス文学論集

      巻: 23 ページ: 80-94

  • [雑誌論文] Bela domna ab fresca color: misogynie occitane dans le "Secret" des Secrets"2016

    • 著者名/発表者名
      Naohiko Seto
    • 雑誌名

      Actes du XIe Congres International de l'AIEO, Lheida, 15-21, juin 2014

      巻: 1 ページ: 256-270

    • 査読あり / 国際共著
  • [図書] 西洋写本学2015

    • 著者名/発表者名
      ベルンハルト・ビショッフ
    • 総ページ数
      472
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2017-01-06  

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