研究課題
「悪魔像の文学的系譜」を古代・中世を中心に、Dieter Trauden氏(京都大学外国人教師)、久山雄甫氏(神戸大学文学部講師)とともに進めた。研究会は原則として隔週の月曜日に、京都大学のDieter Trauden氏の研究室で3人でドイツ語で行なった。3人の研究会で取り上げられたのは、次の3つのグループに分けられる。(1)デモノロジー(悪魔学)を導入し、広めた教父や聖人たち(テルトゥリアヌス、オリゲネス、アウグスティヌスらの教父、スコラ哲学(トマス・アクィナスら)など。(2)民衆のあいだにデモノロジーを広めるのに大いに貢献した復活祭を中心とする中世ドイツの宗教劇(『テェイフィルスの芝居』『ユッタの芝居』『インスブルック復活祭劇』『レーデンティン復活祭劇』『ルツィファー』、『アンティクリスト』など)。(3)おそらくはデモノロジーに反対する立場から唯名論を唱えた人々(アベラール、オッカムら)。(4)悪魔の存在を信じる実在論者たちとそれを批判する唯名論者たちのあいだで交わされた普遍論争をテーマにしたU・エーコの小説『薔薇の名前』。この研究会を踏まえて代表者の高橋義人は、デモのロジー(悪魔学)を導入したことが、西欧精神史の最大の過ちだったという確信を深め、ヨーロッパ精神史に対する批判的見解を『悪魔の神話学』(全9章、400字原稿用紙で700枚ほど)として執筆した。これは2016年夏に岩波書店から出版される予定である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 6件) 図書 (3件)
contraste. Studien zur japanisch-deutschen Kulturkomparatistik (Paderborn, Fink)
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Orient im Okzident, Okzident im Orient. West-oestliche Begegnungen in Sprache und Kultur, (Zuerich, Peter Lang)
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Verkoerperte Sprache; Rahmen und Rahmenbrueche (Muenchen: iudicium)
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Interlingualitaet, Interkulturalitaet, Interdisziplinaritaet. Grenzerweiterungen der Germanistik
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モルフォロギア
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