これまでの研究で、この研究の第1の目標としてきた初期キリル文字を含むフォントの作成を最終年度までにすべて終了した。この中には、初期キリル文字を正規のUnicodeに割り当てたPreslavフォント、およびIzhitsaフォントの文字コードを考慮したDobrogeaフォントの2つを含んでいる。また平成25年度にウェブフォントとして利用が可能であることがわかったFree UCS Outline Fontsについて、本研究の作成しているフォントとそのライセンス条件および収録する文字が合致することが確認された。これらにより本研究の目的である、古ロシア語で用いられていたキリル文字を含むフリーライセンスのフォントを作成することが、完全に達成されたと考えられる。このことにより、今後初期キリル文字を含むコンコーダンス、およびコーパスをUnicodeに沿った形で作成することができるようになったといえる。 またこれらのフォントが完成したことにより、これまでに作成されてきたコンコーダンスについても、Unicodeに合致した形に変換した標準に沿った形のデータとして利用可能になった。これまでに作成したロシア諸年代記コンコーダンスのアップデートについてであるが、『モスクワ年代記集成(XV世紀末)コンコーダンス』、『ノヴゴロド第4年代記コンコーダンス』、『 イパチー年代記コンコーダンス』、『ソフィア第一年代記コンコーダンス』、『プスコフ諸年代記コンコーダンス』、『ロシア原初年代記コンコーダンス』、『ラジヴィル年代記コンコーダンス』、『トロイツア年代記コンコーダンス』の8つの年代記についてはUnicodeへの正式対応の作業を終えて、ウェブ上で公開している。
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