本研究は、研究代表者がこれまで行ってきた1930年代日本における中国人日本留学生の文学・芸術活動の掘り起こし作業の一環であり、1930年代後期の中国人日本留学生の演劇・美術活動の掘り起こし作業に照準を当てたものである。 1)一次資料、関係資料の発掘・収集 本研究の遂行に一次資料、関係資料の発掘・収集は不可欠な作業である。今年度も北京に赴き、北京大学の協力を得て、北京大学図書館において、これまで日本国内にはなかった一次資料『留東新聞』をデジタルカメラを使って収集した。また、新たに『留東学生』、『学聯半月刊』などの雑誌が同図書館にあることが分かり、同じくデジタルカメラを使って収集した。しかし、『劇人月刊』、『国際戯劇』など未だに所蔵先すら不明な一次資料が多々あり、研究はようやく緒に着いたばかりである。 2)成果の公表 昨年来『中国文芸研究会会報』に留学生の演劇活動を一次資料を基に留学生サイドからまとめた論文「1930年代における中国人日本留学生の演劇活動再考」を連載し、現在も継続中である。美術活動については資料発掘が困難であまり進んではいないが、留学生で木版画家である黄新波の「写真」を手掛かりに論文をまとめ公表した。研究は、中国・広東美術学院の蔡涛氏等の協力を得ながら現在もなお進行中である。
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