研究課題/領域番号 |
25370398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70372638)
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研究分担者 |
高橋 俊 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10380297)
中野 徹 近畿大学, 文芸学部, 講師 (20610512)
齊藤 大紀 富山大学, 人文学部, 准教授 (70361938)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 重慶 / 民族主義文学 / 梁実秋 / 老舎 / 王平陵 / 孫陵 |
研究概要 |
平成25年8月17日より8月23日にかけて、科研メンバー全員による重慶への現地調査を実施した。その前半は白公館・桂園・新華日報址・渣滓堂等、民国期重慶の歴史建造物の他、重慶中国三峡博物館における民国時期資料展示を見学し、また北碚地区に保存される梁実秋紀念館(梁実秋旧居、雅舎)・四世同堂紀念館(老舎旧居)・国立復旦大学重慶旧址等文学関係の遺構の現状を確認した。また後半は、重慶図書館において王平陵を始めとする国民党系作家の民国時期重慶における文学活動に関するマイクロ資料を中心に調査を行い、同時に重慶市档案館における民国時期公文書の調査を実施した。 研究成果発表のための例会を2度設けた。6月8日に京都エスペラント会館で、11月3日に高知大学で、いずれも基盤研究(C)「近代都市・青島における知識人の交流と文化空間の創成」との合同の研究報告会を行った。また12月14日に中国モダニズム研究会と合同で研究成果の発表を行った。 主な研究成果としては、齊藤大紀が重慶に隣接する湖南省出身の作家・沈従文「在別一個国度裏」に関する研究を公刊したほか、中野知洋は山東省出身の国民党系の作家で日中戦争中の一時期重慶に移住して『自由中国』という民族主義の雑誌を編集したこともある孫陵の活動について調査した。孫陵の文学作品の主なものは国共内戦を経て台湾移住後に発表された作品が大半を占めるが、その中には青島、あるいは重慶を巡る「記憶」という形で都市が描き込まれていることを、実例を挙げて説明した。高橋俊は穆時英について、中野徹は鉄道遊撃隊に関する研究成果がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は口頭発表が中心で公刊された論文は必ずしも多いとは言えないものの、各研究分担者もそれぞれの課題を定めて継続的に研究を遂行しており、二年目以降も順調に研究成果をあげることができるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
二年目である26年度は、研究成果発表のための例会を2回程度開催する。また10月に二度目の調査旅行を重慶図書館・重慶市档案館・上海図書館で実施する。中国モダニズム研究会と合同で、12月に重慶に関する研究発表を行うこととする。 最終年度の27年度はメンバーの中で調査がなお不足している者のみ現地調査を行い、他の者は調査した内容を論文として研究成果を公刊する。その準備のための例会も2回程度とする。中国モダニズム研究会で出版を計画している中華圏における諸都市の歴史紹介とうの文章にも活かされる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者の物品費購入に232円の残額が生じたもの。物品を購入した際に生じる、いわば「端数」に当たるものであり、研究費の執行に大きな遅れが生じているものではないと考える。 第二年次にコピーなどの費用に充当することとする。今後とも適正な研究費執行を心がける。
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