研究課題/領域番号 |
25370399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三木 直大 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (10190612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 台湾文化 / 1990年代 / 島嶼邊縁 |
研究概要 |
本年度は初年度にあたり、池上貞子氏(跡見女子学園大学)、垂水千恵氏(横浜国立大学)、山口守氏(日本大学)を連携研究者とし、個別に研究打ち合わせを行なうとともに、12月下旬にに台北で山口守氏、池上貞子氏と研究会を開催し、張小虹氏(台湾大学)、洪凌氏(作家・世新大学)、鴻鴻氏(詩人・劇作家)、夏宇氏(詩人)、向陽氏(詩人・台北教育大学)、陳克華氏(詩人・陽明大学)等への共同インタビューなどをおこなっている。また、研究代表者は台北の国家図書館などで雑誌『島嶼邊縁』とあわせ、同時代的に刊行されていた雑誌『當代』(1986~2010)などの調査に着手している。 本研究は、雑誌『島嶼邊縁』誌上におけるトピックや、その編集や執筆に関わった人々を手掛かりにして、1990年代前半期以降の台湾文化再編成の動向について、総合的に研究を行なおうとするものである。台湾では1987年の戒厳令解除以降、文化の枠組みが大きく変容する。自由化の進展は、自らをどのように位置づけるかという思想的課題を中心にして、本省人・外省人を問わず若い世代の知識人たちに、台湾文化の意味体系(価値コード)の脱構築/再構築を迫ることになる。そうした思想的課題をあきらかにするため、マイノリティ、ジェンダー、ナショナリズム、ポスト・モダン、ポスト・コロニアルをキーワードにして、横断的に検討をくわえていくことになるが、二年目の2014年度以降は台湾における調査とあわせ、年2回程度台湾から当該課題に関係する作家、知識人、研究者などを研究協力者として招聘し、連携研究者とともにワークショップを開催し、戒厳令解除後の台湾文化の諸相を検討いく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる2013年度は準備作業にあてたことから、主に基礎的資料の調査と整理、関係者へのインタビュー、連携研究者や台湾の研究協力者との問題意識共有などをおこなってきたが、2014年度の日本台湾学会第16回大会に申請した当該課題に関連する連携研究者・研究協力者との分科会企画も採用され、あわせてそこでの成果発表と関連するシンポジウムや研究会開催にむけての準備をすすめることができている。
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今後の研究の推進方策 |
①雑誌『島嶼邊縁』に関与した台湾の知識人・作家・詩人などを研究協力者とした研究会の開催、②『島嶼邊縁』への直接的な関与の有無にかかわらす1990年代前半期からの台湾の文化状況について同時代な場を共有するテーマをトピックとした検討、③当該課題に関する資料の調査や聞き取りなどを柱として研究をすすめる。2014度はまず日本台湾学会第16回学術大会において、連携研究者との分科会企画「「同志文学史」の政治学―林懐民と阮慶岳を読む」(座長・三木直大)において、セクシュアルマイノリティの問題をテーマに、報告と討論をおこなう。また、それにあわせて阮慶岳氏(作家・元智大学教授)を招へいシンポジウムを開催予定である。後半期においても台湾から研究協力者を招へいし、研究会を開催する計画をすすめている。あわせて、台湾に調査に赴き、関連資料の調査整理と『島嶼邊縁』とその周辺の知識人、作家などへのインタビューを継続しておこなう。また、2014年度はあらたに三須祐介氏(立命館大学文学部)が台湾学会分科会企画の立案共同担当などで連携研究者として参加する。
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