研究課題/領域番号 |
25370399
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
三木 直大 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (10190612)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 台湾文化 / 1990年代 / 島嶼辺縁 |
研究実績の概要 |
本研究は雑誌『島嶼邊縁』(1991~1995)の編集や執筆に関わった知識人・作家たちを手掛かりにして、戒厳令解除後の1990年代台湾文化再編成の動向について、総合的に研究を行なうものである。本年度は第3年度にあたり、初年度の池上貞子氏(跡見女子学園大学)垂水千恵氏(横浜国立大学)山口守氏(日本大学)に加えて、三須祐介氏(立命館大学)及川茜氏(神田外語大学)橋本恭子氏(一橋大学特別研究員)を連携研究者として研究をすすめた。 雑誌『島嶼邊縁』には1990年代前半期の台湾の多元文化状況を「ポストコロニアル(後植民地)」と「ポストモダン(後現代)」の両面からとらえる論考が多く登場する。その内実を具体的に考える作業として、三木を編集委員とする「台湾現代詩人シリーズ」(思潮社)において、連携研究者との協力のもとに『夏宇詩集』(池上貞子訳)『唐捐詩集』(及川茜訳)を2014年12月に上梓している。本年度はこの作業の一環として、2015年4月25日26日に台湾から鴻鴻氏(詩人、台北芸術大学)唐捐氏(詩人、台湾大学)林巾力氏(台湾師範大学)楊佳嫻氏(詩人、清華大学)、日本からは四方田犬彦氏(比較文学者、前明治学院大学)野村喜和夫氏(詩人・研究者)を研究協力者として、「台湾現代詩のポストモダン」と題した国際シンポジウムを一般公開形式で開催するなど、共同研究をおこなった。その成果は『現代詩手帖』(思潮社)2015年10月号の特集「東アジアから考える」において公開したほか、『アジア社会文化研究』第17号にも公開している。 また、陳芳明著『台湾新文学史(上)(下)』(東方書店、2015)出版において、連携研究者の池上貞子氏・垂水千恵氏とともに本課題にかかわる部分の作業をおこなった。あわせて研究代表者は本年度も台湾に調査に赴き、継続して台湾の1990年代と雑誌『島嶼邊縁』に関連する資料調査や、その周辺の研究者・作家などとの研究交流をおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に予定していた国際シンポジウムのひとつが、開催招聘予定であった台湾の研究者や研究協力者の都合などから、延期になったためである。ただし、それについては、すでに2016年度の開催日程を決定して準備をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
『島嶼邊縁』に関与した台湾の研究者や文学者を研究協力者としながら、連携研究者と共同で、今回の研究課題に関連する国際シンポジウムを開催する準備をすすめている。ひとつは日本台湾学会第18回学術大会(2016年5月21日、宇都宮大学)における分科会企画「1990年代台湾文化を再考する:雑誌『島嶼邊縁』をてがかりにして」(座長・三木直大)であり、連携研究者も参加して報告と討論をおこなう。もうひとつは本課題のまとめ的位置づけとして、10月に国際シンポジウムの開催を計画している。その準備とあわせ、今後のさらなる研究の展開のために、1990年代以降の台湾の文化状況を再考するための課題設定に向けて、台湾や日本の研究者との交流や、関連する関連資料の整理などをできる限りすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に予定していたもうひとつの国際シンポジウムが、開催招聘予定であった台湾の研究者や研究協力者の都合などから、2016年度に延期になったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
延期となったものを含め、今回の研究会課題のまとめに位置付ける国際シンポジウムを開催予定で準備をすすめている。繰り越し分については、そのひとつである日本台湾学会第18回学術大会(2016年5月21日、宇都宮大学)における分科会企画「1990年代台湾文化を再考する:雑誌『島嶼邊縁』をてがかりにして」(座長・三木直大)及び関連する研究会において、台湾から研究者を招聘し連携研究者とともに報告や討論を行うが、主にその開催に関わる費用や旅費等にあてる。
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