『楚辞』は、中国の先秦から後漢期にかけて成立した楚辞文学の作品集である。南宋の朱熹による注釈書『楚辞集注』が、朱子学を官学とする江戸期の日本で広く受け入れられたことを契機に、『楚辞』は日本においても漢学者たちの研究対象となった。江戸期の楚辞研究としては、芦野東山『楚辞評園』、董鴎洲『王注楚辞翼』、亀井昭陽『楚辞ケツ』が、明治期のものとしては、西村天囚『楚辞纂説』『屈原賦説』等がある。本研究では、これらを手稿本・写本という形態から活字データ化することにより、研究資料として利用しやすくするとともに、当時の日本における『楚辞』研究の実相とその学術的意義を明らかにした。
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