『三国志演義』の版本のうち、『李卓吾先生批評三国志』と題する本(李卓吾本)について、多角的に研究を行った。 現存する李卓吾本は、同版か異版かという観点から、大きく四つの系統に分けることができることを確定させた。また同版とされるいくつかの版本どうしの印刷の順序を明らかにした。そして従来用いられてきた簡称は、必ずしも正確ではないことも分かった。同版であるにもかかわらず封面上の書肆名が異なるという例も存在するからである。これは李卓吾本は数多くの書肆が版元を変えながら繰り返し出版されたことによるのだろう。
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