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本研究課題は、19世紀以降の「東アジア」で展開されたさまざまな文学活動を、植民地形成とその後の脱植民地主義へと向かう世界史的な状況を背景にした、政治理念や社会思想をも含む幅広い文化現象として再考することを目的とする。言語や国境を越え、移動しながら書く作家たちの接触と交流の重層性を把握するために設定された連続的な時間と空間の分析軸は、本研究に先立って行われた科研費研究「「移動」の文学表象におけるジェンダーと言語」（2010～2012年度）以来の問題意識であり本研究の意義でもある。
社会科学分野における他のプロジェクトとの連携が可能にした多角的視座と視角による共同作業の成果の一端は、伊豫谷登士翁・平田由美編『「帰郷」の物語/「移動」の語り: 戦後日本におけるポストコロニアルの想像力』（平凡社、2014年）として公刊されており、本研究の最終年度ではそのさらなる展開を企図して以下の作業を行った：
(1)海外研究協力者で論集執筆者の一人であるテッサ・モリス＝スズキと研究成果の総括およびその発展に向けた共同研究の可能性について討議し、オーストラリア国立大学で開催された「移動」研究をめぐるワークショップに参加した。
(2)韓国日本学会第５回大会「東アジアの人文精神と日本研究」（嘉和泉大学校：ソウル）において「マイナー文学の政治と言語」と題する発表を行い、海外研究研究者との打ち合わせで成果の英語雑誌への掲載に関する詳細を確定した。
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