研究課題/領域番号 |
25370415
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小杉 世 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (40324834)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オセアニア / 核文学 / 環境芸術 / 仏領ポリネシア / Lemi Ponifasio / Gayatri C. Spivak / Chantal Spitz / Alexis Wright |
研究実績の概要 |
9月出版の共著の担当章では、2年半ほどの研究の成果をまとめ、オセアニアの舞台芸術における近代性と土着性の問題をサモア人舞台芸術家Lemi Ponifasioのダンス作品を中心に、マオリの詩人(H. Tuwhare、R. Potiki)やマオリの小説家(W. Ihimaera)、ニュージーランドの画家(C. McCahon)、フィジーの劇作家(L. Thomas)などの作品にも言及しながら論じた。7月に行った国際学会での基調講演では、Ponifasioの惑星的想像力について、Spivak、Said、Appaduraiの理論に触れながら論じた。年度後半はサバティカルを利用して現地調査や資料収集を行った。ニュージーランドでは、オークランド大学所蔵のCNDのマニュスクリプト資料を閲覧し、当時の文芸人も深く関わっていた非核南太平洋をめざす活動の歴史を考察するほか、環境社会活動家でもある画家Claudia Pond Eyleyや活動家Maire Leadbeaterにインタビューを行った。マオリ・南太平洋系の舞台芸術や環境をテーマとするアートを視察、Pacific Arts Associationのシンポジウムに参加して情報交換を行った。仏領ポリネシアでは、ブック・フェスティバルでニューカレドニア・ヴァヌアツ・タヒチなどフランス語圏の作家たちと行動をともにし、講演を聴き、インタビューを行った。タヒチ人作家Chantal SpitzとLitterama'ohiのメンバーによるポリネシアの歴史を表象するパフォーマンスも視察した。オーストラリアでは、中国系アボリジニ作家Alexis Wright、アボリジニ劇作家Jane Harrisonと面会するほか、メルボルンおよびシドニーを拠点とするアボリジニの劇団関係者に面会し情報を得た。太平洋での核実験に関する表象(舞台芸術、アート、文学)の研究に関しては、10月から国立民族学博物館の共同研究プロジェクト(放射線汚染をめぐる「当事者性」に関する学祭的研究)のメンバーとして、学問分野を超えた研究者との情報交換を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度後半には半年間のサバティカル期間を利用し、現地調査や資料収集のための外国出張を複数回にわたり行うことができたため、情報収集やネットワークの開拓がかなり進んだ。もとの計画では科研最終年度に行う予定であった国際学会での成果発表は、基調講演の依頼を受けたことから、繰り上げて、今年度に行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は科研最終年度にあたるので、研究成果のとりまとめを中心に行う。平成27年10月から、国立民族学博物館の共同研究プロジェクト(放射射線汚染をめぐる「当事者性」に関する学祭的研究)のメンバーとして、関連分野の研究者との情報交換を行っているが、これまでのネットワークを活かして、本科研の成果に基づき、さらに関連する研究課題の発展の可能生について考察したい。
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