本研究は変貌を遂げつつあるオセアニア諸地域の先住民・移民コミュニティのあり方を、文学・視覚芸術・舞台芸術による共同体形成や、環境問題に関する言説形成、テロリズムなどの現代社会の問題に注目して考察した。オセアニアにおけるポストコロニアル文化の形成を、地域研究や文学研究の枠をこえて超域的に捉え直し、ポストコロニアル研究の基盤と、マオリ語をはじめとするオセアニア諸語の運用能力を生かして、地政学的に論じるものである。日本も視野におき、核や原発に関する環境文学や冷戦時代の太平洋核実験、大国の経済活動がもたらす搾取とそのひずみ、植民地状況とポストコロニアル状況に声を発する文学やアートを検証した。
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