チェルノブイリ原発事故がどのように描かれてきたのかを考察した。主にスベトラーナ・アレクシェービッチの『チェルノブイリの祈り』、グードルン・パウゼヴァングの『雲』、若松丈太郎の連詩「かなしみの土地」、チェルノブイリ原発事故を予見した映画としてタルコフスキー『ストーカー』を論じた。『チェルノブイリの祈り』は社会主義からの訣別と人間の生と愛への希望というテーマを証言集全体の構造を分析することで明らかにした。また、『雲』では登場人物の核に対する意識の差が主人公の父方、母方の意識の差と重なること、「かなしみの土地」では想像力の飛躍に基く詩法を明らかにし、福島原発事故への架橋の意味があることを評価した。
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