研究概要 |
本研究は、(I)文末名詞化構文((a)コピュラありタイプ, (b)コピュラなしタイプ)と文末連体構文の機能的分類・特徴づけ, (II)文末名詞化構文と文末連体構文の連続性の記述・分析を目標として研究を実施した。 (I)に関しては、日韓語の「文末名詞化構文」に関して、自然発話コーパスからの用例の収集・分類を行い、機能類型論的分析を研究論文として発表した(堀江2014)。具体的には、研究補助者の協力を得て10数枚のセリフのない漫画(Mr. O)を出来事順に並べる作業を行う二名の母語者(日本語・韓国語等)の自然会話、および最も驚いた経験の語りから成る「Mr. O Corpus」からの日韓語の文末名詞化構文を収集し、生起頻度およびそれぞれの構文の果たす語用論的・相互行為的機能を分析した。また、韓国語の3種類の文末名詞化構文(-N kes, -l kes, -tanun kes)の機能を、日本語の対応する構文と対比しつつ、これらの名詞化構文によって表される事象の実現可能性の程度に基づいて分析した(呉・堀江, 印刷中)。また、(II)に関しては、文末名詞化構文と「文末連体構文」の両者を「従属節の主節化」という観点から統合し、複文の機能類型論的研究の最近の展開に照らして、日韓語の文末名詞化構文、文末連体構文がどのような特徴を有しているかを分析した(堀江2014a)。さらに文末名詞化構文を含む「言いさし」表現のヘッジとしての機能の分析も行った(堀田・堀江2013)。(I)と(II)の背景的・基盤的研究として、言語類型論という分野および複文の類型論研究に関する編著及び展望論文を発表した(益岡, 大島, 堀江ほか2014, 堀江2013, 2014b)。 研究協力者である金廷珉氏(麗澤大)、李ソンハ氏(韓国外大)を招聘し、韓国語の文末連体形、文末名詞化構文に関して文法化の観点から最新の研究成果を2月6日に名古屋大学で公開講演会として発表して頂いた。
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