研究課題/領域番号 |
25370429
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
堀江 薫 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 教授 (70181526)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非終止形述語 / 文末形式 / 中断節 / 語用論的機能 / 複文 / 名詞修飾節 / 文法化 |
研究実績の概要 |
本年度は、主として以下の3つの研究テーマに関して研究活動・成果発表を行った。 (I)中断節(「言いさし」)・「非終止形述語」文末形式の機能類型論的研究:日本語、韓国語を中心に、他のアジア言語、ヨーロッパ言語にも射程を広げ、「関係節」「補文」「副詞節」「等位節」といういわゆる「複文」が独立節として用いられ、特定の語用論的機能を発現する現象を、「連体形」が終止形に転じる現象も含め「非終止形述語文末形式」として統一的に捉え、構造・機能ごとに分類した。同研究の成果は論文として発表した(堀江2015)。同研究は「非終止形述語文末形式」の類型論的研究として初めての試みである。 (II)「名詞修飾節」の語用論的拡張現象の地域的分布に関する研究:日本語において際立った拡張を見せる「名詞修飾節」の語用論的拡張現象が東アジア以外の地域、特にこれまであまり体系的に研究がなされてこなかった南アジア言語における「名詞修飾節」の語用論的拡張現象に関して、プネー市(インド)のデカン大学において国際シンポジウムが12月に開催され、同シンポジウムで招待講演を行った。本シンポジウムによって、名詞修飾節の語用論的拡張現象の地理的分布の様相がより明確になった。 (III)文法化に伴う語用論的変化に関する研究:日本語、英語、中国語の文法化現象の語用論的側面に関して国内、国外の学術誌で論文発表を行い、国際学会で研究発表を行った。(Moriya and Horie 2015, 朱・堀江2015; Shu and Horie 2015)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中断節の語用論的機能による類型化に関しては本年度論文において現時点で考えられる、言語間の変異を反映した類型化を提示できた点で順調に研究が進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、2015年度に提示した類型化が網羅的であるか、特定の言語(群)にのみ適用できるようなバイアスを含んでいないかどうかを再度点検し、英文論文にまとめ海外学術誌への投稿を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属部局と他の1部局1専攻が平成29年度より新しい大学院組織として再編されることになり、設立準備の責務を負う委員会構成員として多くの時間を会議、書類作成に費やすことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は昨年度論文発表して暫定的な類型化を提示した「非終止形述語文末形式」の構造的・語用論的機能類型を完成させ、国際学会での発表、海外学術誌への投稿を行う。
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