本研究課題は自然言語における類別詞の統語と意味に関する研究である。第一に日本語の類別詞は前置型や後置型などの形態で現れるが、それらをBorer (2005)のExo-skeletal syntaxの枠組みで分析することにより様々な理論的示唆が得られることがわかった。特に後置型と前置型がそれぞれ主要部及び句の形態を取って量化解釈上同様の役割を担うことへの説明の道筋がつけられた。第二に、数詞の「1」と類別詞から成る否定極性表現(NPI)を綿密に分析し、後置型類別詞のNPIには空焦点主要部が存在すること、そしてその空主要部の分布が英語の空補文標識の分布と基本的に同じである事を提案した。
|