最終年度にあたる平成27年度は、おもに日本語とイタリア語における借用語の分析を行い、とくに、日本語・イタリア語両言語における双方向の借用語受け入れ方策の異同について調査を実施するとともに、それらに対する分析、考察を行った。また、これまでの成果の発信にも重点を置き研究を推進した。 日本語とイタリア語は借用元である相手言語(L2)の強勢あるいは、アクセントを、それぞれ自言語(L1)のアクセント、あるいは、強勢と捉えて再認識し、L2においてそれらの付与される位置情報を参照しながら受け入れていることを、データベースの分析をもとに確認した。それと同時に、L1の音韻制約をもとに、知覚に加味する形で、最終的な出力形を産出することが明らかになった。 また、イタリア語が日本語を含む6つの言語から単語を受け入れる際の音韻パターンの保持・非保持を外来語辞典等のデータベースから調査・分析し、イタリア語において、入力言語によって異なる受け入れ方策の選択される可能性が明らかになった。 最終年度にあたるため、これまでの成果の発表にも力点を置いた。具体的には、学会誌を含む論文集に成果発表を行った。それとともに、図書(共編著)の発表、および、国際会議を含む学会、研究会にて成果の発表を行った。 今年度および本研究期間での成果、とくに、イタリア語と日本語における借用語の受け入れと語形成というテーマは、平成28年度から3年間に渡り実施される基盤研究に引き継がれ、さらに深化させる予定である。
|