本研究は、日本語コミュニケーションにおける「言いさし発話を含む連鎖の制度性」を発見することを目的としている。 研究の結果、「①情報提供の言いさし発話-②言いさし部分の補完-③補完内容の適切性確認」という共話を含む言いさし発話の連鎖と、「①質問-②回答-③回答の一部繰り返し」という繰り返しを含む会話の連鎖が、日本語母語話者にとって規則性があることが発見された。しかし、言いさしを含む連鎖の場合は、中・韓国語母語話者にとっては、必ずしも理解しやすく好ましい会話の連鎖ではないことが明らかになった。このことから、接触場面で支障となる可能性があり、今後の日本語教育での指導が必要だと考えられる。
|