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2014 年度 実施状況報告書

依存・認可の関係性を基盤とする制約的音韻理論による日本語音節構造の実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25370442
研究機関東洋大学

研究代表者

高橋 豊美  東洋大学, 法学部, 教授 (00639825)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード音節 / 頭子音 / 制約性 / 音韻エレメント / 依存・認可 / 音韻理論
研究実績の概要

本研究の当初の目的は、日本語の音節構造において韻が分岐する(日本語に長母音や二重母音がある)という現在の主流となっている立場について、理論的にも実証的にも十分な根拠がないことを示し、より制約性の高い理論的枠組みを示すことであったが、平成25年度の研究で同様の論考が頭子音についても敷衍できることを主張したことにより、平成26年度はこの修正を加えた理論的枠組みを提示し、それに基づく実証研究の計画を策定することを課題としていた。
理論的枠組みの提示については、文献調査を行い理論の展開に取り組んだが、平成26年度中に論文のかたちにまでまとめるには至らなかった。また、併せて取り組む予定であった実証研究の計画策定は、分析機器の入手の遅れに伴い半年ほど予定が遅れることとなった。
理論的枠組みの展開にかんする進捗は次のとおりである。平成26年度の論文で示した、音韻表示レベルでは頭子音が分岐する構造はなく音響信号レベルで観察される時間的差異をともなう音の連続は音韻現象ではなく音声現象であるという主張について、その妥当性を言語類型に照らして論じることに加え、この主張を言語獲得過程に適用する可能性を検討している。音響信号レベルで複数の音が連続する頭子音を有する言語獲得の過程では、単一の音のみが発せられる段階を経て頭子音の音配列が獲得される。たとえば、'blue'という語は、/b/のみが発せられる段階をへて/bl/が発せられるようになる。頭子音が分岐することを前提とする理論的枠組みでは、この過程の説明が難しい。(母音については分岐構造を含む長母音や二重母音が分岐構造を含まない短母音よりも複雑であることを示す言語獲得の過程はない。)このような言語獲得の過程まで視野に入れた理論的枠組みの構築を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度の推進方策に記した理論的枠組みの提示を行うに当たり、平成26年度に分析機器(ラリンゴグラフ)を入手して予備実験に取り組むはずであった。しかし、当初に予定していた購入方法に変更が生じ、さらに、円安による価格上昇で一部の付属機器の購入を平成27年度に先送りしなければならない事態となった。このため、夏季休業期間中に機器の操作を学び、春季休業期間中に予備実験を行う予定でいたが、これらの予定に半年程度の遅れが生じる結果となってしまった。このような事情により、予備実験については、分析機器を入手し、その設定を行い操作を学んだ段階で平成26年度末を迎えてしまったが、平成25年度に着想を得た論文を予定どおり平成26年度に出版できたことを踏まえ、3年間の研究を100%として現段階での達成度は50%程度と考える。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、最初の6か月ほどで、今年度の概要に記載した理論的枠組みの構築を目指しながら、遅れた予備実験を実施し実験計画を詰め、残りの6か月でデータの採集と分析を行うことを予定している。その最終的な成果を公表するのは平成28年度になる公算が大きいが、進捗次第で部分的にでも発表等が可能な結果をまとめることができれば学会や研究会等を利用して当該結果についての意見を求める機会を設けるようにし、また、平成27年度中に少なくとも中間発表に相当する論文または研究ノートを所属機関の紀要に発表するようにして、平成28年度に向けた最終成果のとりまとめの準備をすすめる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Identity Relations in Grammar2014

    • 著者名/発表者名
      Toyomi Takahashi
    • 総ページ数
      101頁~120頁
    • 出版者
      De Gruyter Mouton

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公開日: 2016-05-27  

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