研究課題/領域番号 |
25370444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
澁谷 良穂 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (90154260)
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研究分担者 |
ERICKSON Donna 昭和音楽大学, 音楽学部, 非常勤講師 (80331586)
WILSON Ian 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (50444930)
末光 厚夫 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (20422199)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 音声学 / 第二言語習得 / EMA / 国際情報交換 アメリカ |
研究概要 |
研究第1年目は、文のストレスとリズムの音響および調音的特徴とそれらの第二言語習得への応用について調べた(Erickson, 2013)。また英語独特のリズムの習得方法を開発するための基礎データとして、北陸先端科学技術大学院大学(石川)において三次元磁気計測装置Electromagnetic Articulatograph (EMA)のデータ収集・解析、会津大学(福島)においてビデオデータの収集・解析を主に実施した。具体的には(1)英語リズムの調音上の相互関係の調査、(2)日本語リズムの調音上の相互関係の調査、(3)母音の質が顎の開閉度と母音のneutralizationアルゴリズムに与える影響、(4)調音パターンに基づく韻律境界の調査、(5)ビデオ録画中の皮膚の伸縮の問題、および(6)調音フィードバックの研究を行った。末光は発音学習の促進を目的として、EMAを用いて、学習者の調音情報をリアルタイムに視覚フィードバックでき、目標音のための学習者固有の調音ターゲットを同時に提示可能なシステムを開発した。これを日本語母語話者が発音を苦手とするアメリカ英語母音/ae/の発音学習に適用してその効果を検証した。その結果、10分程度の発音訓練を行うだけで訓練前後の調音位置が変化し、発話音声が音響的に改善される(ネイティブ話者の音響特徴に近づく)ことが確かめられた。またウィルソンは、舌の動きの違いは、話者の発音の違いに直接影響することから、超音波を用いた舌の断面映像を使用し、英語母語話者と日本人話者の発音の違いを舌の動きから抽出し数値化する実験を行った。これにより、英語母語話者の舌の動きを日本人話者の舌の動きと直接比較することができるようになり、日本人が苦手とする英語らしい発音ができるようになるための指導に役立てられると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北陸先端科学技術大学院大学でのEMAのデータ収集およびその解析、会津大学(福島)にけるビデオデータの収集およびその解析が実施できたため。また、成果の一部を国内外の学会で発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究第2年目は、北陸先端科学技術大学院大学でのEMAのデータ収集とその解析、および会津大学でのビデオデータの収集とその解析を継続して行う。これにより、日本人英語話者と北米英語母語話者の調音リズムパターンをより詳しく分析し、比較していく。またビデオと超音波による顎と舌の動きのデータの同時採取を行い、費用や設備面で継続的使用が困難なEMAの替わりに、将来的により低コストで使用可能と思われる教材を作成するための準備を行う。また、当初の計画に沿い、中国人話者のデータの採取を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
会津大学においてビデオデータ収集・解析に使用するためのコンピュータの購入を今年度は行わなかったため(データ量は来年度以降大幅に増える予定)。また実験に必要な備品(センサーその他)の一部が今年度は間に合ったため、その費用を使用しなかったため。また予定されていた研究代表者と分担者による打ち合わせを、実験や学会発表で数名が集まった際に行い、電話・メールでも行ったため、旅費の一部を使用しなかった。 会津大学におけるビデオデータ収集・処理・解析に使用するためのコンピュータを購入する予定である(備品)。また実験に必要な備品(センサーその他)を購入する予定である(備品)。また、本研究の理論的枠組みはC/D Model (Fujimura, 2000)に基づくが、その藤村氏に直接専門的アドバイスを受ける予定である(謝金)。また国内外の学会で成果の発表を継続して行う予定である(旅費)。
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