研究課題/領域番号 |
25370446
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
中西 久実子 京都外国語大学, 日本語学科, 教授 (30296769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 強調 / ぼかし / just / とりたて / 日本語教育 / 語彙 / 国際情報交換(香港(中国)) |
研究実績の概要 |
平成26(2014)年度は,以下の1)2)の研究をおこなった。前年度までの研究成果を学会誌に発信し,さらに次年度への研究の完成をみすえてより汎用性のある理論であることを検証している段階である。1)前年度(平成25(2013)年度)の研究成果を論文にまとめて(i)(ii)(iii)の学会誌(レフェリー付き)に掲載された。(i)中西久実子 (2014)「「名詞+だけだ」が不自然になる原因―「弟は10歳だけだ」はなぜ不自然なのか―」『日本語教育』159号,pp.17-29,日本語教育学会. (ii)中西久実子 (2014)「とりたて助詞「でも」で言い換えられない「だって」」京都外国語大学『研究論叢』LXXXⅡ82号、pp.227-239、京都外国語大学.(iii)中西久実子 (2015)「終助詞「かな」の語用論的特徴―「非難」「ぼかし」の用法―」『無差』22,pp.22-37,京都外国語大学日本語学科. 2)平成26(2014)年度は前年度(平成26(2014)年度)の上記(iv)を英語で学術雑誌に投稿し,掲載された(中西久実子 (2015年1月31日)Difference between the positive and negative usages of “Just”,京都外国語大学『COSMICA』第44号(Vol.XLIV),pp.77-85,京都外国語大学.)。投稿に際しては,より精密な翻訳(和文翻訳)が必要となるため学術論文翻訳サービス(editage)を利用して(http://www.editage.jp/),完成度を上げた。 3)日本語における強調とぼかしのメカニズムを日本語学習者の語彙の習得という側面から分析し,以下の研究発表をおこなった。「日本語ピア・ラーニングにおけるジグソー学習法の活用と語彙のインテイク―『みんなの日本語中級Ⅰ』を使った実践を中心に―」香港日本語教育研究会第10回国際大会日本語教育・日本語研究シンポジウム「変化する国際社会における課題と可能性」(於:香港大学専業進修学院)平成26(2014)年11月15日~16日,SOCIETY OF JAPANESE LANGUAGE EDUCATION HONG KONG.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,下記の(a)(b)に示すとおり,強調とぼかしのメカニズムを語用論的に解明し,その普遍性を示すことである。下記の(a)(b)のどちらについても調査・分析をほぼ終え,全国大会・国際大会などの学会で成果を発表する段階に至っている。
(a)まず,とりたて助詞の語用論的特徴(肯定的用法と否定的用法)をもとに,日本語における強調とぼかしのメカニズムを明らかにする(日本語の強調とぼかしのメカニズムの解明)。 (b) 次に,日本語における強調とぼかしのメカニズムは,とりたて助詞以外の形式にも英語など日本語以外の言語にも適用できるという仮説を立ててこれを検証する。そして,強調とぼかしのメカニズムを示して,その普遍性を実証する(英語の強調とぼかしのメカニズムの解明)。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は研究実績の概要1)2)3)をさらに国際的な学会で研究発表する予定である。
海外学術雑誌への投稿もおこなう予定である。 本研究の実施期間に発表した研究論文等を成果報告書として刊行・発信する予定である。
さらに余力があれば,本研究の成果を,日本語教育だけでなく,日本語母語話者の日本語コミュニケーション力の強化に活用し,相手を不快にさせないコミュニケーション教育の強化について本研究の成果を援用して考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学術雑誌への投稿は翻訳作業に労力を要しているため,まだ実現していない。平成26年度予算が残っているのはこのためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は海外学術雑誌への投稿・国際学会での研究発表を実現させるため,予算が残らず支出できる予定である。
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