研究課題/領域番号 |
25370449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大久保 朝憲 関西大学, 文学部, 教授 (60319605)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ポリフォニー / 論証 / 違反性 / アイロニー / 緩叙法 / 婉曲語法 / 国際情報交換 / フランス |
研究概要 |
当該年度は、国内外での4回の研究発表を中心に、未公刊ではあるが、3本の学術論文(英語・フランス語・日本語)の執筆にあたり、これらを軸に研究目的の達成に専心した。 フランスで6月におこなった発表は、ポリフォニー理論そのものをテーマにかかげた研究会だったこともあり、参加者との刺激的な意見交換が実現し、本研究の方法論が、その目的に合致していることを確認できた。また、フランスでの2回めの発表では、言語の「違反性」の観点からアイロニーを論じることで、アイロニー研究についての独自の視点をしめすことができたと認識している。10月は筑波大学で招へい講演をおこない、現在の自分の研究全般についてまとまった発表をすることができた。12月におこなった日本での発表では、日本であまりしられていないポリフォニー理論を紹介する機会となり、多くの研究者から有益なコメントをいただいた。 当該年度に執筆を完了し、公刊をまつ論文が3つあるが、そのなかには、ポリフォニー理論を関連性理論と比較検討し、ポリフォニー理論の妥当性を論じたものがあるが(英語)、Camridge Scholar Publishingから論文集として刊行されることがきまった。当該理論をベースにした英語による著作が少ない(もしくはない)ことをかんがえると、有益な貢献になったのではないかと考える。 以上の成果により、アイロニー研究に論証的ポリフォニー理論が有効であるという理論的妥当性を論じる基礎がかためられたと認識し、今後の研究をすすめたい。 また、以上の成果全体をまとめた論文(フランス語)の草稿を現在しあげている途中である。公刊の可否は未定だが、これが公刊されれば、理論的には、自身の研究のなかで、現段階でもっとも精度のたかいものとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3回の研究発表などを通して、論証的ポリフォニー理論がアイロニー研究の理論的オルターナティブとなりうることを、説得的に論じる基盤が確立できた。データベースの構築は発展途上であるが、当該年度は、理論の有効性を確実にすることに力点をおいたため、調整できる範囲であると認識している。 計画にしめした学会・研究会には参加できなかったものもあるが、その分、別の発表の機会をえることができたので、問題なしとしたい。 反省すべきは、大学院生をアシスタントとして雇用することによって、資料の整理やこまかな作業を効率的にすすめることができなかった点であるので、次年度以降の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については特に変更はない。ただし、次年度の4月から9月までの半年間、大学の助成により在外研究による出張でフランス(を中心とするヨーロッパ各地)にわたることになったので、国際学会への参加や、外国の研究者との交流は、前半の期間にできるだけ集中させるようにしたい。 また、データベースの構築にとりわけちからをそそぎ、当該年度の成果との調整のうえ、スムーズに推進してゆきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費・謝金については、アルバイト学生を使用しての作業について、予定していたほど執行額が多くなかったことにより、これをうまく活用できなかったため。また、予定していたパソコンの購入を今年度はみおくったことも理由のひとつである。 在外研究による出張先で必要な消耗品(プリンタ・ディスプレイなど)の購入を計画している。また、今秋帰国後に、昨年度みおくったパソコン本体の購入も予定している。 また、昨年度十分に出席できなかった日本フランス語学会例会など関東圏での学会・研究会にもできるだけ出席したいと考えているので、そのための国内出張旅費としても使用したい。 残額については、日本語・フランス語の事例データの整理作業のため、学生アルバイトの謝金として使用する予定である。
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