研究課題
本研究は、消滅の危機に瀕する古アジア諸語のアリュートル語およびコリマ・ユカギール語について、1. 言語再活性化のための辞書編纂と基礎資料の拡充、2. 用例つき語彙データべース作成、3. ロシア地域で話される危機言語の辞書作成のための研究の3点を行なうことを目的とする。前年度に引き続き、平成28年度にはアリュートル語、コリマ・ユカギール語、セリクープ語に関する調査研究を行い、次のような成果を得た。1. 既存のテキスト・語彙資料の整理・分析:本研究の代表者永山ゆかり(北海道大学)および分担者長崎郁(国立国語研究所)がこれまでに収集した各言語のテキスト資料および語彙資料について整理・分析を進めた。2. 言語調査による資料収集と分析:言語調査はアリュートル語についてのみ実施した。ロシア連邦カムチャッカ地方からアリュートル語の母語話者を招へいし、辞書編纂のための最終確認作業を行なった。データベースに保存されている語彙の中から出版向けに抽出した約5300語につき、発音・表記ならびに用法を確認し、必要に応じて新たな用例を収集して採録した。3. 辞書作成の方法論の研究:ロシアにおける少数言語の辞書作成の事例研究にもとづき、また辞書作成の実績がある研究者らと相談し、辞書の構成についての方針を決定した。これらの調査・研究により得られた成果はNymylan-Russian Dictionary (Part 1)として出版した。また、分析した資料をもとにそれぞれの言語に関する文法研究を進め、その成果を永山はヤクーツク(ロシア)とヘルシンキ(フィンランド)における国際学会等で発表した。また「北方の言語と文化にかんするシンポジウム:北方の人と動物」を開催し、永山、長崎がそれぞれ口頭発表を行なったほか、藤代節(神戸市看護大学)をコメンテーターとして招へいした。
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Juha Janhunen and Ekaterina Gruzdeva (eds.) Linguistic Crossings and Crosslinguistics in Northeast Asia Finnish Oriental Society (Studia Orientalia 117)
巻: - ページ: 119-136
巻: - ページ: 137-151