研究課題/領域番号 |
25370455
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
塩谷 亨 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10281867)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ポリネシア諸語 / 対照研究 / 小辞 |
研究実績の概要 |
データ拡充のための資料収集を継続した。国内大学図書館としては、太平洋地域の参考図書を多数所蔵する東京外国語大学図書館において、ポリネシア諸語の辞書や文法書等から一般的小辞に関する記述部分を閲覧・複写した。仏領ポリネシアではパペエテ市内の図書館でタヒチ語文献関連図書情報を入手し、市内のタヒチ語及びポリネシア諸語文献取り扱い書店ではタヒチ語及び周辺のポリネシア諸語の言語データを収集した。今回収集した資料、及び過去の科研費による調査で収集した資料から、一般的小辞に関連する記述を集め、それぞれの一般的小辞について、形式、機能、用法を調べ、整理した。 上述のデータを基に、各言語が持っている一般的小辞のうち、形式及び機能の上で対応しているものを選び出し、その詳細な用法・機能の対照を行い、ポリネシア諸語同士でどのような差異が見られるのか分析した。強調を表す一般的小辞について、サモア語、タヒチ語、ハワイ語の三言語間で形式的及び機能的に対応するものがあり、三言語でのその用法・機能について詳細に分析した。その結果、意味・機能の点においては概ね一致していたが、文中の分布について、サモア語・タヒチ語の二言語とハワイ語との間では明確な差異が存在することが示された。その成果について「サモア語、タヒチ語、ハワイ語における強調辞について」として北海道言語研究会にて発表した。 また、研究過程において、従来の小辞の分類に一部不十分な点があることが明らかになり、より厳密な分類の提案について「ポリネシア諸語の一般的小辞について」として北海道言語研究会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、一般的小辞のうち、形式及び機能の点で対応するものについて、その用法を細かく分析・対照し、どのような差異が見られるのか、或いは見られないのかを示すことが目的であったが、サモア語とタヒチ語とハワイ語の三言語間で対応する強調の一般的小辞について、詳細な用法の分析と三言語間での対照を行い、そして、そこで見られた類似点と相違点を明らかにし、研究発表としてまとめるところまで、年度内に一応終えることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
過去三年間の作業の成果をまとめて、名詞的小辞、動詞的小辞、一般的小辞の中で、ポリネシア諸語間で形式上対応するものについて、どのような小辞に機能上・用法上の差異が見られたか、また、差異が見られた場合には、それはどのようなものであったか、傾向を分析しまとめる。それに際して、これまでの作業の中で、収集しきれなかったデータ、及び最後のまとめの段階でさらに必要になったデータの補充のために、東京外国語大学図書館での資料収集と、仏領ポリネシアにおいて図書館等の研究教育文化施設及び専門書を扱う市内書店での資料収集を行う予定であるが、データの不足状況によっては、外国での収集先を米国ハワイ州へ変更することも有り得る。また、その成果を基に「ポリネシア諸語間の小辞の機能的・用法的差異について(仮題)」として論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入のための予算を計上していたが、平成27年度については、過去の科研費や研究費で購入した在庫分で足りる見込みとなり、購入予定の消耗品の大部分について購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、平成27年度に購入しなかった各種記録メディアやインクカートリッジ等の消耗品補充のための出費に使用する予定である他、当初予定していた一回の国内出張と一回の外国出張に加えて最終まとめの前にもう一回の資料収集のための追加の国内出張を予定しているので、そのための出費としても使用する予定である。
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