研究実績の概要 |
直接目的と間接目的 (以下,仏語アクサン省略): 文型特徴の認定において、直接目的-間接目的-方向性位格-非方向性位格状況項の対立が問題になる。他動詞 regarder では間接目的は注目されないが、場所表示には注目すべきである。a. On regarde le toit, b. On regarde sur le toitで、bは直接目的が省略された文とすることも可であろうが、直接目的のle toitと間接目的のsur le toitの対立とする方がより自然である。通常、regarderの対象が場所の時は前置詞句で表す方がより自然である。「ドアの方を見ろ」は Regarde vers la porte,「テーブルの下を見ろ」は Regarde sous la table で、名詞の直接目的での表示は不自然か不可能でさえある。このようにして、直接目的と両立する時は非方向性位格状況項(On regarde la table dans la chambre)と見なされているものも、直接目的が不在の時には動詞との結びつきが強まり方向性位格の間接目的となりうる。これは個別の動詞次第である。 文型体系: コピュラのetreを属詞自動詞(Luc est gai), 間接目的(Luc est sur le toit), 自動詞(Cela est) に三分類すると、全体は次の9文型になる: 1. N-V-N-, 2. N-V-prepN-, 3. 代名動詞: N-se-V-, 4. 受動: N-etreVe-, 5. N-V, 6. N-V-属詞-, 7. 非人称: [Il/Ce]-V-, 8. 主辞なし定形動詞文, 9. 非動詞文。この内、8 は極めて少ないので7 に含め、3,4,7 は固有のものが少ないので1,2,5,6 から派生すると、1,2,5,6,9の5種が基本文型として残る。
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