本研究課題は,カナダのブリティッシュ・コロンビア州で話されるハイダ語と海岸ツィムシアン語を対象に,文法面や情報構造に関する様々な言語事象の解明を図ることを主な目的とするものである。 まず,ハイダ語に関する成果としては,動詞の形態法にみられる複統合性を再吟味し,様々な要因によってそのような特徴付けが必ずしも妥当ではないことを指摘したことに加え,情報構造との関係で3人称代名詞の自立形とクリティック形の現われを明らかにしたことがあげられる。一方,海岸ツィムシアン語については,所有表現のうち譲渡可能かどうかを示す接辞の現われ,等位接続詞を始めとする接続詞の機能と用法,人称標識などを解明した。
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