研究課題/領域番号 |
25370475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (90352955)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バントゥ諸語 / 名詞修飾 / 国際研究者交流 / タンザニア / ナミビア / 英国 / ドイツ |
研究概要 |
●調査:バントゥ諸語のなかには主名詞と修飾部との意味関係が名詞修飾の形式に反映される言語とされない言語があるが、25年度は、前者の例としてヘレロ語、後者の例としてスワヒリ語を取り上げ、それぞれの詳細について調査を行った。まず、これまでの現地調査で収集したデータやこれらの言語で書かれた民話等のテキストデータから名詞修飾形式をピックアップし、修飾部と主名詞の意味関係を確認していく作業を行った。また8月にタンザニア(スワヒリ語)、9月にナミビア(ナミビア)でそれぞれ2週間のフィールドワークを実施し、これまでのデータの確認と補完、新たなデータの収集を行った。さらに、研究協力者から提供されたその他のバントゥ諸語のデータについて比較・検討を行った。 ●成果:上記の調査から、①「内の関係」でも主名詞の文法関係によって異なる形式が用いられる言語があること、②スワヒリ語の2つの関係節はアクセントフレーズが異なる(つまり主名詞と修飾節との緊密性に違いが見られる)こと、③スワヒリ語の名詞修飾形式には方言差があって関係節が1つしかない方言も少なくないこと、などが明らかになった。これらの成果の一部を論文「バントゥ諸語における名詞修飾節の形式と意味」にまとめた。また日本語との対照研究を論文“Noun-modifying constructions in Swahili and Japanese.”にまとめた。これは2016年度に発行される予定である。この他、国内外の学会と研究会において、アクセントフレーズ成果を発表した。 ●国際研究者交流:2013年4月にはベルリン・フンボルト大学(ドイツ)において海外の研究協力者との研究打合せと研究会を行った。2014年3月にはロンドン大学東洋アフリカ学院(英国)において国際バントゥ諸語ワークショップを開催し、研究代表者と国内外のが2013年度の成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査・研究およびワークショップの開催をはじめとする国際研究者交流については計画通りに進んでいる。これまでの成果を現時点で2本の論文にまとめ、国際ワークショップでは国内外の研究協力者たちと実りある情報交換をすることもでき、本プロジェクトは順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまではスワヒリ語とヘレロ語を中心に調査・分析を行ってきたが、26年度は対象とする言語を増やす。8月と9月にタンザニアとナミビアで現地調査を行い、ヤオ語・シファ語・ハヤ語・チャガ語(以上タンザニア)、ンドンガ語・クヮニャマ語(以上ナミビア)等の「内の関係」と「外の関係」の名詞修飾の形式のデータを収集する。また研究会等をとおして研究協力者から提供されるタンザニアとナミビア以外のバントゥ諸語のデータも合わせて扱い、バントゥ諸語の名詞修飾の形式と意味関係についてできるだけ広域的に見ていく。研究会を7月と11月に国内で、また国際ワークショップを2月に英国で開催する予定である。 調査対象言語の数を増やすと同時に、スワヒリ語とヘレロ語に関してはさらに掘り下げて詳細を調べる。具体的には、語用論的要素や統語的条件といった意味関係以外の要素が名詞修飾構文の形式にどのように関与しているのかについての調査・分析を開始する。将来的にバントゥ諸語の総合的な複文研究へ発展させることをめざし、最終年である27年度には、その足がかりとして名詞修飾節とその他の従属節との関連(特に内容補充関係にある名詞修飾と動詞補文との連続性)についての調査・分析に着手するつもりである。
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